プーチン大統領、ロシアが占領したウクライナの4州に戒厳令を布告、国内では「経済動員令」も発令
ロシアのプーチン大統領は10月19日、ロシアが支配しているウクライナの4つの州に戒厳令を敷くと発表した。
ウクライナ南部・東部4州に布告
戒厳令が敷かれるのはウクライナ南部のヘルソン州とザポリージャ州、東部のドネツク州とルハンシク州で、20日から導入されるという。
一般的に戒厳令とは、非常事態に備え、通常の立法権や司法権などを軍部などに委ねるものとされ、今回もロシア側に任命された各州の首長に広範囲な緊急権限を与えることになるそうだ。
これにより各州では、住民に対して「移動の禁止」や「夜間外出禁止令」などが科され、当局による「財産の差し押さえ」が行われる可能性もある。
プーチン大統領は、安全保障理事会において4州における戒厳令を敷くと発表。大統領令にも署名した。またテレビ演説で「我々は、ロシアの信頼できる未来と国民の未来を確保するために、非常に複雑で大規模な問題の解決に取り組んでいる」と述べている。
Putin says he’s introducing martial law in the four partially occupied Ukrainian regions he annexed last month. This is portrayed as a technicality – he said it de facto already exists – but is a clear response to recent military setbacks as Ukraine’s counteroffensive advances. pic.twitter.com/zTOanR1N1C
— max seddon (@maxseddon) October 19, 2022
これに対し、ウクライナ大統領顧問のMykhailo Podolyak氏は、戒厳令が敷かれても「ウクライナにとっては何も変わらない」とし、戒厳令を「ウクライナ人の財産略奪の擬似合法化だ」と表現している。
“Martial law” implementation on the occupied territories by RF should be considered only as a pseudo-legalization of looting of Ukrainians’ property by another “regrouping”. This does not change anything for Ukraine: we continue the liberation and deoccupation of our territories.
— Михайло Подоляк (@Podolyak_M) October 19, 2022
ロシア8つの州に「経済動員令」を命じる
この戒厳令により、プーチン大統領は、クリミア半島を含む、ウクライナと国境を接するロシア国内の8つの州で「経済動員令」を命じた。
これによりウクライナへの侵略戦争を支援するため、ロシア国内における治安維持と増産のための追加権限が、全ロシア州の指導者に付与されたそうだ。
またこの法律は、ウクライナと国境を接するロシアの8つの州への出入りの自由を制限するものとなる。
19日にもキーウにロシア軍の攻撃
一方、ウクライナの首都・キーウでは19日の午後にも、ロシア軍による攻撃が行われ、ミサイルが着弾し、大きな爆発が確認されたという。
これによりウクライナを訪問中のギリシャのニコス・デンディアス外相は、キーウの防空壕に避難することを余儀なくされたそうだ。
ウクライナ軍は、今回のロシア軍の攻撃においても、数発のミサイルを撃墜したが、イラン製の自爆型ドローンを撃墜する費用は、攻撃する側のコストより大きく上回り、ウクライナ側の大きな負担になっているという。
またロシア軍はウクライナのエネルギー施設などを中心に攻撃しているようだが、ゼレンスキー大統領は19日に「戦略会議」を開き、ウクライナのエネルギーシステムが崩壊した場合の影響を回避するための方策を議論したそうだ。
この会議では、ロシアによるインフラ攻撃を回避するため、「移動式」の電力出力機(パワーポイント)の製作に取り組んでいると明らかにされた。
さらにウクライナ軍は南部で「報道管制」を敷いたが、これによりヘルソン州への新たな大攻勢を準備しているのでは、との憶測を呼んでいる。(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war live: Putin imposes martial law in annexed territories in Ukraine – as it happened(10/19)