「F-16の供与は西側にとって大きなリスク」ロシア高官が警告
ロシア政府の高官は、西側諸国がウクライナに「F-16」戦闘機を供与することに関して、警告を発した。
米の訓練支援発表を受けて
アメリカのジョー・バイデン大統領は5月19日、ウクライナ軍のパイロットに対して行われる「F-16」戦闘機などの訓練を、支援すると明らかにした。
またイギリス政府も、リシ・スナク首相が日本でのG7サミットにおいて、この問題について再び議論したと発表した。
しかしロシア国営の「タス通信」によると、その後ロシア政府のアレクサンドル・グルシコ外務副大臣が、次のように述べたという。
「西側諸国が依然としてエスカレーション・シナリオを堅持していることが分かる。それ(F-16の供与)は、彼ら(西側諸国)にとって巨大なリスクを伴う。いずれにせよ、このことは我々のすべての計画で考慮され、我々は設定した目標を達成するために必要なすべての手段を持っている」
G7訪問は「歴史的な瞬間」
イギリス政府は、ウクライナのゼレンスキー大統領のG7訪問について「歴史的な瞬間であり、ロシアの侵略に対する国際社会の、ウクライナへの不動の支持を示すもの」と歓迎したという。
またイギリスのスナク首相も、ゼレンスキー大統領と会談し、ロシアに対する新たな制裁や戦闘機の提供など、これまでのG7での非常に前向きな進展について報告したそうだ。
「F-16」については、アメリカが直接ウクライナに供与するのではなく、西側諸国が保有するものの中から、提供されると考えられている。
しかし「F-16」はアメリカの企業が製造しているため、ウクライナへ供与するには、アメリカ政府の承認が必要とされてきた。
「ワグネル」がバフムトを占領したと主張
一方、激しい戦いが続けられているウクライナ東部ドネツク州のバフムトについて、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」のプリゴジン氏は5月20日、支配下に置いたと主張した。
しかしウクライナ軍側は、その主張を否定。ウクライナ軍の報道官、セルヒイ・チェレバティイ氏は「これは事実ではない。我々の部隊はバフムトで戦闘を続けている」と述べた。
プリゴジン氏は5月20日、ロシアの国旗とワグネルの旗を持った戦闘員の列の前に、戦闘服姿で現れ、動画において次のように述べたという。
「今日、正午12時にバフムトは完全に(我々に)占領された。家から家まで、街全体を完全に占領した。5月25日から休息と再教育のために軍を撤退させ、ロシア正規軍に支配権を渡す」
しかしその動画の中でも、プリゴジン氏の背後からは、遠くで爆発音が聞こえてきたという。(了)
出典元:The Guardian:Providing Ukraine with F-16 jets a ‘colossal risk’ for west, Russia says(5/20)