余剰ワインを破棄へ、需要の落ち込みなどで価格が急落【フランス】
フランスでは、余剰ワインの破棄が検討されており、そのために政府も生産者を支援する動きがあるという。
過剰生産となり、価格が急落
フランスのいくつかの主要ワイン生産地、特にボルドー地方は、消費習慣の変化、生活費の高騰、新型コロナの影響など、様々な問題のために苦境に立たされているという。
しかもワイン需要の落ち込みにより、過剰生産となり、価格が急落。ボルドー地方のワイン生産者の3人に1人が、財政難に陥っているそうだ。
このためフランス政府は、経営難に陥っているワインの生産者を支援し、価格を引き上げるために、余剰ワインを破棄するため、2億ユーロ(約316億円)の資金を投じると発表した。
マルク・フェスノー農相は8月25日、記者団に対し次のように語っている。
「この資金は、価格の暴落を食い止め、ワインメーカーが再び収入源を見つけられるようにすることが目的だが、ワイン業界は未来に目を向け、消費者の変化を考え、適応する必要がある」
ワイン需要の落ち込みで打撃
フランス南西部のラングドック地方は、フルボディの赤ワインで知られる国内最大のワイン産地だが、ワイン需要の落ち込みで大きな打撃を受けているという。
ラングドックワイン生産者協会のジャン・フィリップ・グラニエ氏も、「生産量が多すぎて、販売価格が生産価格を下回っているため、赤字になっている」と語る。
フランス農務省は今年6月、ボルドー地方の約9500ヘクタールのブドウ畑の伐採に、5700万ユーロ(約90億円)を拠出することを発表した。
最後にヨーロッパで大量のワインの廃棄が行われたのは、2000年代半ばのことで、当時EUは補助金によって大量に生産されたワインの量を減らすため、農業政策の改革を余儀なくされたという。
もっとも今回、破棄されたワインのアルコール成分は、手指消毒剤、洗浄剤、香水などの非食品用として企業に売却することができると言われている。(了)
出典元:The Guardian:France to spend €200m on destroying excess wine as demand falls(8/25)