ウクライナで発見された100万年以上前の石器、ヨーロッパでの初期人類の証拠
以前、ウクライナで出土した石器の分析が進められ、ヨーロッパに初期人類が存在していたことを示す、最も古い証拠の可能性が出てきた。
1970年代にウクライナ西部で発見
その石器は、1970年代に、ウクライナ西部のザカルパッチャ州にあるKorolevo遺跡で発見されたという。
そして今回、デンマークのAarhus大学やチェコ科学アカデミーなどの考古学者が、新しい方法で石器が見つかった堆積岩の層の年代を調査。100万年以上前のものと結論づけた。
石器は火山岩を意図的に欠けさせた打製石器とみられ、ヨーロッパに初期人類が存在したことを示す最古の証拠となる可能性があるそうだ。
ホモ・エレクトスの可能性
研究論文の共著者で、デンマークのAarhus大学の地球物理学者でもあるMads Faurschou Knudsen氏は、「これは、年代が特定されたヨーロッパの人類の最も古い証拠です」と述べている。
またKnudsen氏によれば、まだどの初期人類の祖先が、この道具を作ったのかは定かではないが、直立して歩き、火の使い方を習得した最初の種であるホモ・エレクトスだった可能性があるという。
同じく研究論文の共著者で、チェコ科学アカデミーの考古学者、Roman Garba氏は「遺骨の化石が発見されていないため、どの種かは確信がもてない」としつつも、この打製石器が肉を切ったり、動物の皮を削いだりするために使われた可能性が高いと述べている。
最古の石器はアフリカ東部で発見
研究者たちは、この石器が140万年前のものと考えているようだが、他の専門家は100万年以上前のものと示唆しており、スペインで発見された石器と、ほぼ同じ年代の範囲内にあると考えられている。
スミソニアン博物館の人類起源プログラムを指揮するリック・ポッツ氏によると、このタイプの最古の石器はアフリカ東部で発見され、その起源は280万年前に遡るという。
またウクライナの遺跡は、極北の最古の遺跡という点で重要であり、これらの道具を持ってアフリカから分散した初期人類が、多様な環境に適応し、生き残ることができたことを示唆しているそうだ。(了)
出典元:ABC News:Ancient stone tools found in Ukraine date to over 1 million years ago(3/7)