ヨーロッパでは今世紀末までに、暑さが原因で死亡する人が3倍に増える可能性
ヨーロッパでは今後、夏の暑さにより死亡する人が増える傾向にあるとする、研究結果が発表された。
南欧諸国で大きな影響
研究チームは、ヨーロッパの854都市のデータをモデル化し、大陸全体の暑さや寒さによる死亡者数を推定したという。
現在、ヨーロッパでの暑さによる年間の死亡者数は約4万4000人だが、研究チームは気温が産業革命以前の水準より3℃上昇した場合、今世紀末には暑さによる死亡者数が、年間約12万9000人に達する可能性があると予測した。
また研究チームは、暑さによりヨーロッパ全土で死者が増えるが、最も影響が大きいのはスペイン、イタリア、ギリシャなどの南欧諸国と、フランスの一部だと結論付けたそうだ。
最も涼しいヨーロッパ
そもそもヨーロッパは、人が住む大陸の中で最も涼しいと言われ、熱中症による死亡者よりも、寒さによる死亡者が多く、温暖化によって死亡者数が減ることで社会に利益をもたらすと主張する人もいるという。
しかし今回の研究では、地球温暖化が3℃または4℃に達した場合、熱中症による死亡者数の増加は、寒さによる死亡者の減少を大幅に上回ると結論付けられた。
この研究論文の共著者で、欧州委員会共同研究センターのデービッド・ガルシア・レオン氏は、次のように述べている。
「気候が温暖化し人口が高齢化するにつれ、暑熱による死亡者数はさらに増えると予想される一方、寒さによる死亡者数はわずかに減少するだけだ」
また例え、1.5℃の上昇という温暖化目標を達成したとしても、ヨーロッパでの寒さと暑さによる年間死亡者数は現在の約40万7000人から、2100年には約45万人に増加する可能性があるという。
最も涼しいヨーロッパでさえ、このような状況が予測されているため、アジアやアフリカ、オセアニア、南北アメリカ大陸の国々は、さらに厳しい状況に陥ると見られている。(了)
出典元:The Guardian:Heat deaths in Europe may triple by end of the century, study finds(8/21)
出典元:PHYS ORG:Modeling study suggests heat-related deaths in Europe could triple by century’s end under current climate policies(8/21)