英の企業が遺伝子組み換え技術を使い、変色しにくいバナナを開発

イギリスに拠点を置く企業が、時間が経っても変色しにくいバナナを開発し、食品ロスを減らすことができると主張している。
食品ロスを減らす武器になる
そのバイオテクノロジー企業とは、イングランドの町、ノリッジに拠点を置く「トロピック」だ。
彼らは遺伝子編集技術を使い、変色しにくく、保存期間を長くするよう設計されたバナナを開発したという。
実際、このバナナは、皮をむいた後12時間は新鮮で黄色いままで、収穫や輸送中にぶつかっても変色しにくいと言われている。
科学者たちは、この技術が、世界中で途方もない規模で発生している食品ロス(廃棄)に対する強力な武器になると主張しており、「トロピック」の最高経営責任者、ギラッド・ガーソン氏も次のように述べている。
「食品廃棄は温室効果ガス排出の大きな原因です。明らかに、非常に悪いことです。バナナは世界で4番目に多い作物ですが、腐りやすい作物でもあります。ある推定では、栽培されたバナナの50%は食べられることがありません」
ポリフェノール・オキシダーゼの生成を抑制
「トロピック」では、変色(褐変)を引き起こす「ポリフェノール・オキシダーゼ(polyphenol oxidase)」という酵素の生成に関与する遺伝子を、無効にする方法を編み出したという。
2017年からアメリカで販売されている遺伝子組み換えのリンゴ「アークティック・アップル」も、同じ遺伝子が抑制されており、切っても中身が変色しないと言われている。
また「ポリフェノール・オキシダーゼ」の生成を阻害すると、トマトやメロン、キウイフルーツ、キノコでも効果があることが分かっているそうだ。
「トロピック」は、変色しにくいこのバナナを、フィリピンやコロンビア、ホンジュラス、アメリカ、カナダで販売する許可を、すでに得ており、今年後半にも販売を開始するという。
また同社の他の研究チームは、萎れるのが遅いレタスや、傷みにくいリンゴやジャガイモの開発に取り組み、ブドウやブルーベリーが萎れる速さを決定する遺伝子の特定にも努めているそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Gene-edited non-browning banana could cut food waste, scientists say(3/7)