腸内細菌が有害な「Pfas」を吸収、マウスの体外への排出を助ける

イギリス・ケンブリッジ大学の研究で、ある種の腸内細菌が有害な「Pfas(永久化学物質)」を吸収し、便として体外に排出するのを助けることが明らかにされた。
マウスの腸内から75%の「Pfas」を除去
「Pfas」とは有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称で、約1万5000種類もあると言われ、製品の防水、油汚れ防止などに最もよく使用されている。
これらは、癌や先天性欠損症、免疫力の低下、高コレステロール、腎臓病など、様々な深刻な健康問題との関連性が指摘されているという。
また環境中で自然に分解されないことから、「永遠の化学物質」とも呼ばれている。
しかし、ケンブリッジ大学の研究では、ある種の腸内細菌が、マウスの腸内から一部の「Pfas」を最大75%除去することが判明した。
特に「長鎖Pfas」を多く排出
研究者たちは、マウスの腸内細菌叢をヒト化するため、9種の細菌種をマウスの腸内に導入。すると細菌は急速に増殖して、マウスが摂取した「Pfas」を吸収し、その後、化学物質が糞便中に排泄されたという。
研究論文では、細菌が化学物質を吸収した後、「ポンプ」のような機構を用いて、細胞から毒素を押し出し、排泄を促進するようだと述べられている。
しかも腸内細菌は、体内への蓄積性が高い「長鎖Pfas」のうち、「Pfoa」と「Pfna」をそれぞれ最大58%と74%の割合で排出したそうだ。
腸内細菌が「Pfas」を除去することが発見されたのは今回が初めてだが、マイクロプラスチックなどの他の汚染物質の影響を軽減することも既に分かっている。
研究者たちは現在、ヒトの腸内における有益な細菌のレベルを高める、乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクス(善玉菌)・サプリメントの開発を計画しており、これにより「Pfas」のレベルが低下する可能性があるという。(了)
出典元:The Guardian:Some gut microbes can absorb and help expel ‘forever chemicals’ from the body, research shows(7/13)