スコットランドで少年によって発見された難破船、18世紀の軍艦だと判明

以前、イギリス・スコットランドの海岸で発見された難破船の調査が進められ、その正体が明らかにされた。
2024年2月に少年が発見
その難破船は2024年2月、スコットランド北部、オークニー諸島にあるサンデー島の浜辺で、男子生徒によって発見されたという。
船体の大部分はオーク材が使われ、板が木の釘で丁寧に編み合わされており、非常に精巧に造られていたそうだ。
その後、考古学者と地元のボランティアが調査。詳細な木材の年代測定と歴史分析により、この船が1749年にイングランド南東部のChichesterで建造され、24の砲門を備えたイギリス海軍のフリゲート艦「HMSハインド」号であると突き止めた。
「驚くほど長生きで幸運な船」
ウェセックス考古学研究所のベン・サンダース氏によると、悲惨な最期を遂げたにもかかわらず、「HMSハインド」号は「驚くほど長生きで幸運な船」だったという。
海軍の記録によると、この船は1750年代にジャマイカ沖で活動し、七年戦争中にイギリス軍がカナダでフランス軍を破ったルイブールの戦い(1758年)と、ケベックの戦い(1759年)にも参加したそうだ。
また1770年代のアメリカ独立戦争では、イギリス艦隊の一員として参加。その後10年間、アイリッシュ海で練習船として活躍した後に、退役して売却され、北極圏で捕鯨船として活動したという。
しかし1788年4月29日、北海で発生した嵐により、サンデー島の沖合で難破。幸いなことに、56人の乗組員全員が助かったそうだ。
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船体の保存状態が良好
難破船の身元を特定することは、現代の考古学者にとっても、非常に難しいと言われている。
しかし今回は、10メートル×5メートルの船体部分が砂の下に良好に保存されていたため、複数の木材サンプルを分析できたという。
研究者たちは、年輪による年代分析を行い、これらの木材がイングランド南部および南西部産であること、そして最も古いサンプルの伐採時期が1748年春であることを明確に特定したそうだ。(了)
出典元:The Guardian:‘Long-lived and lucky’ ship wrecked off Orkney was at siege of Quebec, experts find(7/23)