欠落した碑文の解読を手伝うAIツール、Googleが開発

Googleが新たなAIのツールを開発し、破損したローマ時代の碑文の解読に役立っている。
欠落している単語の候補を提示
そのAIツールとは、子会社「Google DeepMind」社が開発した、「Aeneas」だ。
そもそも古代ローマの碑文は数多く発見されているが、しばしば断片化されたり、時の流れによってひどく損傷したりして、一部が判読不能になっている場合があるという。
しかし「Aeneas」は、碑文が作成された場所と時期を予測し、欠落している単語の候補を提示するようプログラムされているそうだ。
そして実際に「Aeneas」を使った研究者も、類似した碑文を特定するのに役立ち、作業を変えたと述べている。
20万点の碑文のデータで学習
「Aeneas」は、ヤニス・アサエル氏率いるGoogleチームと、歴史家が協力して開発され、約20万点の既知の碑文(1600万文字に相当)からなる膨大なデータベースを学習しているという。
そして「Aeneas」は、研究対象の碑文からテキスト(場合によっては画像)を取り込み、その学習内容に基づいて紀元前7世紀から紀元前8世紀にかけての関連碑文のリストを作成する。
また単に類似語を検索するのではなく、より深い歴史的なつながりを通して碑文を識別し、関連付けるそうだ。
その上で、碑文が書かれた場所や時期を推察し、碑文の中の空白を埋めるため、候補となる単語も提供するという。
実際に共同研究では、23人の歴史家が「Aeneas」を用いてラテン語の碑文を分析。それにより、提供された文脈は、90%のケースで役立ったという。
イギリス・ケンブリッジ大学の古典学の教授、Mary Beard氏も「Aeneasは、変革をもたらすでしょう」と述べている。(了)
出典元:The Guardian:Google develops AI tool that fills missing words in Roman inscriptions(7/23)