魚竜「イクチオサウルス」の新種、イングランドで化石を発見

イギリスのイングランドで以前、発見された化石の分析が進められ、「イクチオサウルス」の新種であることが示された。
1億9000万年前のジュラ紀前期に生息
この化石は2001年に、プロの化石収集家、クリス・ムーア氏によって発見されたという。
見つかった場所は、イギリス海峡沿岸の町、チャーマスにあるゴールデン・キャップと呼ばれる岬だ。そこは化石の豊富さで知られ、「ジュラシック・コースト」とも呼ばれている。
10月9日に古生物学誌「Papers in Palaeontology」に掲載された研究によると、発見された化石は、絶滅した大型海洋爬虫類「イクチオサウルス」の新種になるという。
この魚竜は約1億9000万年前のジュラ紀前期に生息していたとみられ、その後研究者らにより、「Xiphodracon goldencapsis」と名付けられた。
ジュラ紀の「イクチオサウルス」は、長い鼻先とイルカのような体をしていたが、尾は上下ではなく左右に動いていたと考えられている。

他のイクチオサウルスとは異なる特徴
イギリス・マンチェスター大学の声明によると、この化石には「巨大な」眼窩と、「剣のような」長い鼻を持つ頭骨が含まれていたという。
化石は、今までカナダのロイヤル・オンタリオ博物館に展示されていたが、それまで研究は行われず、2024年秋に研究者が標本を調査できるようになったそうだ。
この研究論文の共著者で、ニューヨーク州立大学ブロックポート校の地質学名誉教授であるジュディ・マサーレ氏によれば、この化石には、前期ジュラ紀の他のイクチオサウルスとは「異なる」いくつかの特徴があるという。
最も大きな特徴の1つは、外鼻孔周辺の「珍しい骨」と、楕円形というより、丸みを帯びた鼻孔だったそうだ。
またこの「イクチオサウルス」は細長い鼻と歯を持っており、研究者たちは、この個体の歯から、イカのような柔らかくて小さな獲物を食べていた可能性が高いと推測している。
実際、化石内の胃の塊には、魚類や、イカ・タコなどのような頭足動物の破片が含まれていたという。
「X. goldencapsis」の標本はおそらく体長約3mで、複数の魚竜科が絶滅の危機に瀕していた時代に生息していたと考えられているそうだ。
そのため1億9300万年前から1億8400万年前に生息していた「イクチオサウルス」は、「非常に稀少」だと言われている。(了)
出典元:ABC News:New species of Jurassic-era ‘sword dragon’ marine reptile discovered(10/11)