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【動画】都市の新たな脅威か?ドブネズミがコウモリを捕食

【動画】都市の新たな脅威か?ドブネズミがコウモリを捕食
ベルリン自然史博物館

日本の都市部でも数が増え続けているドブネズミ。彼らは繁殖能力が高いだけではなく、学習能力があり複雑な行動も可能だ。彼らが生き延びるために新しく始めたとされる行動が、初めて映像に収められて話題を集めている。

 

彼らの逞しさに驚かされるだけではなく、人間にとっても新たなリスクとなる行動だという。

 

ドブネズミがコウモリを捕食

 

ベルリン自然史博物館の研究チームは、ドブネズミ(Rattus norvegicus)が北ドイツの都市部の冬眠場所でコウモリを捕食する様子を初めて体系的に記録した。

 

まずはその映像を見てもらおう。

 

 

タイミングを見計らい、無駄な動きもなく見事に群れ飛ぶコウモリを仕留めている。他にも、洞窟の入口付近や岩の割れ目で待機し、低空を飛ぶコウモリを捕獲する様子が観察されたという。捕獲後には、コウモリを食べる様子も確認された。

 

こうした行動は、ドブネズミが柔軟に行動を変える特性を持つことを示しているのだと論文では解説されている。

 

この行動が生む2つの危機

 

研究者は、これは2つの危機を生む可能性があるとしている。

 

ひとつは、コウモリの個体群の減少が加速すること。コウモリは昆虫を食べたり、種子を運んだり、受粉を助けたりと重要な役割を果たしている存在なので、生態系への影響も大きい。この研究では、ドブネズミが少なくとも52匹以上のコウモリを捕食した痕跡を確認している。研究者は冬眠期全体で数千匹規模の捕食が起こり得ると推定している。

 

もうひとつは、コウモリが保有する病原体がドブネズミに移る「種を超えた感染」が起こる可能性があること。病原体の新しい感染経路となるため、公衆衛生の観点から大きなリスクとなる。現時点では世界中を席巻した新型コロナウィルスがコウモリ由来の病原体が中間宿主を通して人間に感染したと考えられていることは、記憶に新しいだろう。ただし、現時点でドブネズミがコウモリを捕食することで起きた感染事例は、確認されていない。

 

今回の研究はドイツの都市部だが、コウモリとドブネズミは日本の都市部にも生息している。日本ではドブネズミがコウモリを捕食したという報告はないが、あらためてドブネズミの管理の重要性を考えさせられる論文だ。(了)

 

出典:Global Ecology and Conservation「Active predation by brown rats (Rattus norvegicus) on bats at urban mass hibernacula in Northern Germany: Conservation and one health implications」(11/13)

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