259匹にも及ぶ群れた魚の化石、5000万年前にも集団行動していた証拠を示す
先日、ちょっと珍しい、群れている状態で死んだ魚の化石についての研究報告が発表された。
福井県立恐竜博物館で化石に遭遇
この調査を行ったのは、アメリカにあるアリゾナ州立大学の生物学者、水元惟暁氏らとされている。
水元氏は通常、シロアリの集団行動を研究しているとされているが、2016年に福井県立恐竜博物館で、この魚の群れの化石に遭遇したという。(発見されたのはアメリカ)
もともとこの化石は、始新世の地層から出土されたものと言われているが、水元氏はこれについての論文を5月29日に、「Proceedings of the Royal Society B」において発表した。
現代と同じ集団行動ルールに基づいて行動か
この魚たちはサケスズキ目の淡水魚「Erismatopterus levatus」で、すでに絶滅しており、今から約5000万年前に生息していたと考えられている。
化石には259匹の魚が含まれており、研究者らはこの群れの位置や向かっている方向を分析。さらに予想される行動原理を用い、集団行動のシミュレーションモデルを構築したという。
その後、化石となった魚のグループと、シミュレートされた群れのグループにおけるパターンとを比較。その結果、魚たちが群れ形成のための行動ルールを用いていたことが推測できたという。
実際、魚たちは衝突を避けるため最も近い個体を寄せ付けず、離れて行こうとする群れを追いかけてグループ内にとどまるなど、現代の魚と同じように引き寄せあい、または近寄りすぎないというルールにのっとっていたそうだ。
もっともなぜ、魚たちがこのような状態で化石になったのか、原因は分かっていない。ただ突然土砂が崩れてきて、一瞬でその場に埋まったと考えられるという。
このような集団行動は鳥や虫など多くの動物にも見られることから、研究者らはこれらの行動がはるか以前から進化してきたと考えている。
ただしそれを証明するには、絶滅した種についての証拠が非常に乏しく、難しい面もあるそうだ。(了)
出典元:ScienceNews:A 50-million-year-old fossil captures a swimming school of fish(5/28)
出典元:PBS:A Swimming School of 50-Million-Year-Old Fish, Caught in the Act(5/30)