中国で発見されたエイリアンのような頭蓋骨、高い身分の人物のため人工的に作られた?
中国で古代の墓の中から、人間の細長い頭蓋骨が発見され、身分を象徴するために人工的に形作られた可能性が報告された。
細長い頭蓋骨をした11体の人骨を発見
この調査を行ったのはアメリカにあるテキサスA&M大学の古人類学者、Qian Wang氏と、中国の吉林大学の生物考古学者、Quanchao Zhang氏らの研究チームだ。
彼らは中国東北部吉林省にある「Houtaomuga」と呼ばれる遺跡で、約1万2000年前から約5000年前のものと見られる、25体の人骨を発掘。
そのうちの11体の頭蓋は細長く、頭の前後(上部と底部)が平らになった奇妙な形をしていたという。
この頭蓋骨は人工的に作られたとみられており、研究チームは調査結果を6月25日に「American Journal of Physical Anthropology」において発表した。
骨が柔らかい頃に人工的に整形
この変形した頭蓋骨は、他のどの遺跡から発掘されたものよりも長期間にわたってみられ、まだ頭蓋の骨が柔らかい幼い頃に人工的に形作られたと考えられている。
具体的にはまず幼児の頭を押さえて形を整え、その後板のような平らで硬いもので頭を縛り、または布できつく包むことによって、まだ未成熟で柔らかい頭蓋を整形したとみられるそうだ。
そして研究者らによれば、この頭蓋骨の変形は社会的地位の高さを表している可能性があるという。
陶器や工芸品とともに埋葬されていた
今回発掘された11個の変形頭蓋骨のうち、1個は約1万3000年から1万1000年前の男性のもので、残りの10個の頭蓋骨を含む人骨は約6300年前から5000年前のものと考えられている。
これらの頭蓋骨のうち5個は大人のもので、そのうち4個が男性で、1個が女性のもの。11個の頭蓋骨の年齢は3歳から40歳頃までとされている。
またこれらの頭蓋骨は高い地位にあった個人や家族のものとみられ、例えば頭蓋が変形した3歳の子供の人骨は、大量の陶器や工芸品などと一緒に埋葬されていたそうだ。このことから子供は裕福な家の出身であったことが分かるという。
また変形頭蓋骨の女性の周りに置かれた貝殻の装飾品も、彼女が高い身分のために捧げられたと考えられるという。
世界各地で発見されてきた
実はこのエイリアンのような頭蓋骨は世界のあらゆる場所で発見されており、最も初期のものとしては約1万3000年前から約1万年前のものになる。これらは西アジアやオーストラリア南東部で確認されており、今回東アジアでも見つかった。
一方、アメリカ大陸ではこの風習が、約8000年以上も前に始まったと考えられているそうだ。
ただしテキサスA&M大学のWang氏は「人工的に頭部を変形させる(風習)が東アジアで起き、他の地域に広がったとか、この風習が異なった地域独自のものだったのか、ということを話すのは早すぎます」と語っている。
しかも今回発見された最も古い変形頭蓋骨は、わずかに細長いだけで、人工的に整形されたのではない可能性もあるとか。ただしこれには異論もあるようだ。
まだ不明なことが多いようだが、このような頭蓋をした人物の身分が高かったという説は、有力なのかもかもしれない。(了)
出典元:Sciencenews:East Asians may have been reshaping their skulls 12,000 years ago(7/3)
出典元:Science Alert:Eerie ‘Xenomorph’ Skulls Dating Back Thousands of Years Have Been Discovered in China(7/5)