今まで見えなかった人や動物の足跡の化石を画期的な方法で発見:コーネル大学
氷河期の終りに作られ、今まで見えづらかった足跡の化石が、最新のレーダー装置によって発見され、その論文が11月11日に科学誌「Scientific Reports」において発表された。
足跡の化石から体重や動きも分かる
この調査を行ったのは、アメリカのコーネル大学の研究者たち。
発表されたリリースによれば、化石となった足跡は1万2000年前に、人間と動物がどのように動き、相互干渉してきたかについて豊富な情報を与えるという。
論文の主筆を務めた芸術科学カレッジのThomas Urban氏は、次のように述べている。
「私たちは決して足跡を見ることになるとは思ってもいませんでした。しかしそれは堆積物自体が、動物の体重や美しい動きを記録した記憶を持っていることを明らかにしたのです。それは、私たちが決して見たこともない絶滅した動物の、生体構造を理解する方法を与えてくれるのです」
人間やマンモスの足跡を調査
研究者らによれば、これらの足跡は、雨が降った後しばらくの間や、条件が整えば目で見ることもできるという。しかしそれ以外は、普段は表面に現れていても、目で見つけるのは困難なものと考えられる。
研究者らはニューメキシコ州の「ホワイトサンズ国定記念物」に残されていた、人間やマンモス、巨大なナマケモノの足跡を調査。
地中レーダー(GPR)を使い、このエリアにおける人間の足跡の96%を、また同様に大きな脊椎動物の足跡の全てを解明したという。Urban氏は次のように述べている。
「しかしこれは単なるケーススタディ以上のより大きな意味があります。このテクニックは、世界中にある他の多くの足跡の化石がある遺跡でも、おそらく恐竜の足跡にも、適用できるかもしれません。私たちはすでに、ホワイトサンズ内における複数の場所で、より広範囲にこの方法を使ってテストし、成功したのです」
物を壊すことなく、発掘の必要もない
このGPRは、物を破壊することなく調査できる方法であり、研究者は発掘する必要もなく、隠された情報にアクセスできるとか。
その方法はアンテナのようなセンサーを地表で移動させながら、地面に電波を送り、跳ね返されたシグナルが地表の下にあるものの姿を浮かび上がらせるという。
そしてGPRの反応では、たとえ乾燥した条件でさえ、足跡のある基層は周囲の堆積物よりも湿っており、そのことにより足跡が見つかった証拠になるとか。
従来は目で確認することが難しかったが、今ではこのGPRの方法を使って痕跡を記録し、3Dの形で調査することで、更新世の人間と動物の関わり、つまりどのように人々が動物を追跡し、または日常生活の他の仕事でどのように動いていたのかを示してくれるそうだ。(了)
出典元:Cornell University:‘Ghost’ footprints from the Pleistocene made visible(11/11)