日本の研究者がナスカで143点もの新たな地上絵を発見
南米ペルーのナスカ台地とその周辺で、日本人研究者らにより、多くの新たな地上絵が発見されたのをご存じだろうか。
人間や動物などが描かれた地上絵
この調査を率いたのは、山形大学の坂井正人教授(文化人類学とアンデス考古学)。
研究グループらはナスカ台地の西側でフィールドワークを行い、2018年までの調査で得られた高解像度の3Dデータを解析。その結果、新たに142もの具象的な地上絵を発見した。
これらの地上絵には鳥や人、ヘビ、魚などが表されており、少なくとも紀元前100年から紀元後300年頃に描かれたと見られている。
日本IBMと協力しAIを活用
また2018年から2019年にかけて、日本IBMと協力して実証実験が進められたという。
その実験では、研究者らはAIサーバー「IBM Power System AC922」上に構築された、ディープラーニングのプラットフォーム「IBM Watson Machine Learning Community Edition」でAIモデルを開発。それにより今回、新たな地上絵を1点発見することができたそうだ。(合計で143点を発見)
AIを活用した実証実験は、地上絵を発見するAIの能力を探るものでもあり、研究者は高解像度のハイスピードカメラで撮影された航空写真を含む、膨大なデータを処理するAIサーバーを導入した。
そしてこの1点の地上絵は、AIによって発見された初めてのものになるという。
世界遺産の地上絵の保護にも尽力
研究グループは坂井教授を中心に、2004年からナスカの地上絵の研究に取り組み、多くの地上絵を発見すると同時に、この世界遺産の保護にも尽力してきた。
しかしながらこれらの地上絵の分布調査を終えるためには、まだ多くの作業が残っており、都市エリアの拡大で地上絵にダメージが出てきているため、社会問題にまでなっているという。
このような状況において山形大学とIBMコーポレーションは、ナスカ地上絵研究に関する学術協定を締結。IBMワトソン研究所のAI技術によって、ナスカの地上絵の分布を把握し、研究の加速化と保護活動への貢献が期待されている(了)
出典元:山形大学:ナスカ台地とその周辺部で143点の新たな地上絵を発見(11/15)
出展元:山形大学:143 New Geoglyphs Discovered on the Nasca Pampa and Surrounding Area(11/15)