国際宇宙ステーションで、ワインを寝かせる試みがスタート
宇宙でワインを寝かせ、熟成させる試みが始まっている。
今月2日、無人宇宙補給機「シグナス」が国際宇宙ステーションとのドッキングに成功。積まれていた12本のワインが、宇宙ステーションの実験棟に運び込まれた。
NASAと民間ベンチャー企業が協力
このプロジェクトは、フランスのベンチャー企業・Space Cargo Unlimited社が主導し、NASAと共同で推めているもの。「Vitis Vinum in Spatium Experimentia(宇宙でのワイン用ブドウの実験)」というラテン語のプロジェクト名が付けられている。
国際宇宙ステーションに運び込まれたワインは、単一品種の「赤」で(具体的な品種は不明)一般的なガラスのワインボトルに入っている。
これら12本のワインは12℃前後の温度に保たれ、安定した状態のままこれから12ヵ月間置かれる予定だ。
無重力の環境や宇宙空間を常時飛び交う放射線(宇宙線)の影響を受けて熟成の過程に化学的変化が起こり、違った味のワインができるはず、と科学者たちは予想している。
現在、同様のボトルに詰められた同種のワインが地上でも保存され、そちらでも熟成が進んでいる。来年には、宇宙で寝かせたワインとの飲み比べができるだろう。
NG12 Cygnus is scheduled to arrive at the ISS Nov. 4 @ 4:10 a.m. Eastern pic.twitter.com/soLLsO0ODS
— Space Cargo Unlimited (@SpaceCu) November 4, 2019
本来の目的はワインでなく
プロジェクトの最終目標は、新奇なワインを作ることではない。ワインの発酵を研究して低温殺菌法を開発した細菌学者「ルイ・パスツールの足跡を辿るようなもの」と、Space Cargo Unlimited社はコメントする。
もう少し具体的にいうと、食品全般に適用できる新しい保存法のヒントを、宇宙でのワイン熟成から見つけようとしているようだ。
この件を報じた海外メディアによれば、国際宇宙ステーションに酒類が運ばるのはこれが初めてではないそうだ。
以前にもビール、ウィスキー、コニャックなどが搬入されている。だが、どれも乗務員が飲むためのもので、飲めない酒が運び込まれたのはこれが初めであるとのこと。乗務員たちにとっては残念かもしれない。(了)
出典元:Futurism:This Startup Is Aging Red Wine on the International Space Station(11/4)
出典元:A startup just launched red wine to the International Space Station to age for 12 months(11/4)