中国の研究者が世界で初めて、サルとブタを組み合わせた「キメラ」を作る
中国の研究者により世界で初めて、ブタとサルの細胞を組み合わせた動物が作られた。
サルの細胞を改変し、ブタに注入
その動物を生み出したのは、北京にある「幹細胞生殖生物学国家重点実験室(State Key Laboratory of Stem Cell and Reproductive Biology)の研究者たち。
彼らは培養液の中で育てた、カニクイザルの細胞を遺伝的に改変。GFPと呼ばれる蛍光タンパク質を作り出したという。
これは研究者に、細胞が(子孫などにまで)受け継がれていることを追跡可能にさせるものとされている。
その後、研究者はサルの改変された細胞から胚性幹細胞を抽出。それを受精してから5日後のブタの胚に注入したそうだ。
この際、4000以上の胚がメスのブタに移植され、その結果10匹の子ブタが誕生。そのうちの2匹はサルの細胞を持った「キメラ(異なる遺伝子を持った個体)」だったという。
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— New Scientist (@newscientist) December 6, 2019
サルの細胞の割合は低い
しかし残念なことに、これら10匹の子ブタは1週間以内に全て死んでしまう。
「キメラ」の子ブタを調べた結果、心臓や肝臓、肺や皮膚など複数の組織が、部分的にサルの細胞から成り立っていたという。
ただしサルの細胞の割合は非常に低く、1000分の1もしくは1万分の1しかなかったとされている。
体外受精のプロセスに問題か?
なぜ子ブタが全て死んでしまったのか、理由は明らかになっていない。
しかし研究者は「キメラ」ではない子ブタも全て死んでいることから。体外受精のプロセスに問題があった可能性を疑っている。
現在、研究者はサルの細胞の割合を増やした、より健康な動物をつくることを目指しているという。
それがもし成功すれば、次のステップとして1つの臓器が完全にサルの細胞で出来ているブタを生み出すことに挑戦するそうだ。
しかしこの研究の究極の目的は、移植のために動物の体内で人間の臓器を作ることとされている。(了)
出典元:New Scientist:Exclusive: Two pigs engineered to have monkey cells born in China(12/6)