冥王星の地下には海がある可能性、カリフォルニア大の科学者が指摘
地球から約48億km離れ、カイパーベルトに位置する冥王星。その地下に海が残されている可能性をアメリカの科学者が指摘している。
早く形成されれば海がある可能性
そう主張するのは、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の惑星科学者・Carver Bierson氏だ。
Bierson氏が率いる研究チームは、NASAの無人探査機「ニュー・ホライズンズ」が2015年にとらえた冥王星の表面の画像を分析し、内部構造のシミュレーションも行ったという。
その結果、太陽系が生まれる45億年前、形作られたばかりの冥王星は暖かい状態だった可能性があるそうだ。Bierson氏は、取材に対して次のように述べている。
「冥王星が形作られた時、新しい物資が飛来し、表面に衝突したかもしれません。それぞれの衝突は、その付近のエリアを暖める爆発のようなものです。もし冥王星がゆっくり形作られれば、地表はそれぞれの衝突との間に冷やされ、一般的にはやがて非常に冷たい状態にとどまります」
「しかしもし冥王星が早く形成されれば、衝突の最中にも影響を与え、地表が冷えていく時間がありません。もし冥王星が3万年弱で形作られたとすれば、衝突からの熱は初期の海をもたらすことが十分できると計算しています」
氷の外殻の下に海がある?
Bierson氏によれば、冥王星は数百キロに及ぶ氷の外殻に覆われ、その下に塩とアンモニアが混じった海があると考えられるという。
もっともBierson氏が提案したシナリオでは、海の一部が徐々に繰り返し凍ったとも考えられるとか。
そして水が凍ると膨張するが、冥王星の表面にできたひび割れは、このことの証拠になるかもしれないと述べている。
冥王星の表面温度は約マイナス230度だが、水は生命にとって重要な要素であるため、冥王星に生物がいる可能性をさらに広げることになるかもしれない。
今回の研究論文は科学誌「Nature Geoscience」において発表されている。(了)
出典元:ABC net:Pluto may have an ocean under its surface due to heat from early impacts, scientists say(6/23)
出典元:REUTERS:Frigid dwarf planet Pluto may have started out its life as a hothead(6/23)
参考:北海道大学理学部:極寒の冥王星の地下に海が存在できる謎を世界で初めて解明~メタンハイドレートに包まれた内部海~(2019/5/27)