火星で飛んだヘリコプター、その音をNASAが初公開
先月末、火星で小型ヘリコプター飛ばすという人類史上初の快挙を成し遂げたNASA。これまでに発表されていたのは小型ヘリ「インジェニュイティー」が舞い上がる様子を映した無音の映像だけだったが、先週、音付きの動画がツイッターやYouTubeで初公開された。火星の大気を切る回転翼の音を聴くことができる。
4回目の飛行を映した動画で
小型ヘリ「インジェニュイティー」は、2月に火星のジェゼロ・クレーターに着陸した探査ローバー「パーサヴィアランス」に搭載されていたもの。
4月19日、初めて約40秒の飛行に成功し、その後も短時間の飛行が繰り返し行われている。(初飛行についてはSwitchNewsでも4月20日の記事「人類史上初、NASAが火星で小型ヘリコプターを飛ばすことに成功【動画】」で取り上げた)
今回NASA(アメリカ航空宇宙局)が公開した音付きの動画は、4月30日に実施された4回目の飛行を撮影したもの。約3分の動画の冒頭に聴こえるのは、ジェゼロ・クレーターに吹き渡る風の音だ。
右下に現れる白丸に囲まれた小さな影が「インジェニュイティー」。それが飛び立つと同時に、ブーンという低い唸りのような音が聴こえ始める。これが毎分2537回転する「ヘリコプターの回転翼の音だ」と、動画のキャプションに書かれている。(音は非常に微かなため、ボリュームを上げることをお勧めする)
この4回目の飛行で、「インジェニュイティー」は266メートルの距離を飛び回ったそうだ。また、他の惑星上の航空機の音が近距離で録音されたのは、今回が初めてだとのこと。
科学者にとって嬉しいサプライズ
飛行の様子は、探査ローバー「パーサヴィアランス」から録画・録音されており、「インジェニュイティー」との距離は約80メートル。火星の薄い大気の中でこれだけ離れると音を拾うのは難しく、ミッションに関わったスタッフは誰も期待していなかったようだ。
リーダーであるフランス国立航空宇宙大学院大学(ISAE SUPAERO)のDavid Mimoun教授はメディアの取材を受けて、「嬉しいサプライズだ」と話している。
なお、公開された動画中の音は、回転翼の音を明確にするため、90ヘルツ以上と80ヘルツ以下の音域を低減させてある。(了)
出典元:The Verge:Watch — and hear — NASA’s Ingenuity copter zip around on Mars(5/7)
出典元:yahoo!news:Perseverance rover captures sound of Ingenuity flying on Mars(5/8)