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オーストラリア大陸で行われた英の核実験、現在も放射性物質が環境を汚染

オーストラリア大陸で行われた英の核実験、現在も放射性物質が環境を汚染
flickr_The Official CTBTO Photostream

かつてイギリスがオーストラリア大陸で核実験を行なったが、未だに放射性物質が検出され、環境に影響を与えていることが明らかにされた。

 

60年以上も前に行われた核実験

 

イギリスは今から60年以上も前に、南オーストラリア州の街、マラリンガなどを含む複数の場所で、核実験を行ってきたという。

 

その際、大量の放射物質が放出され、その後数百万ドルもかけて、除去作業が行われたため、科学者らは土壌の中のそれらが、安定し、不活性であると考えてきたそうだ。

 

しかしながら、メルボルンにあるMonash大学のMegan Cook博士が行ってきた調査により、マラリンガを含む場所で放射性粒子が非常に高い反応性を保ち、予想以上に土壌が汚染されている可能性が明らかにされた。

 

「プルトニウムが持続的に放出されている」

 

Cook博士によれば、放射性物質の外殻が乾燥した厳しい環境によって破壊され、反応性の高い放射性化合物が環境中に放出されていたという。

 

この活性化したナノ粒子は通常は環境から遮断されているが、時間の経過とともに土壌にある粘土や有機物と相互に作用し合い、特に大雨の時などに地下水に染み込む可能性があるそうだ。Cook博士は次のように語っている。

 

「プルトニウムが持続的かつ長期的に生態系に放出されていることがわかりました。マラリンガの敷地内には、すでにそのような現象が起きている場所があります。地下水に浸入すると、植物に取り込まれる可能性があります。動物が吸い込んだり食べたりしやすくなり、生態系の一部になることで蓄積されていきます」

 

実はCook博士は、イギリスによる核実験で生き延びた第2の世代で、彼女の亡くなった父親は、「Emu Field」での実験の際に、失明したそうだ。

 

またこの地に住む、アボリジニであるアナング族の多くの人々は、現在も狩猟や採集を行い、土地固有の食品を調理している。

 

Cook博士は「アナング族の人々が懸念していたことの1つは、データがなければ、これらの検査が人々や国に与える影響について、支援や理解を得ることができなかったということです」と語っている。

 

その上で、今回の研究により、環境や野生生物を保護し、アボリジニの人々の健康問題に対処するためのサポートが可能になったという。(了)

 

出典元:ABC net:Fallout from nuclear tests at Maralinga worse than previously thought(5/22)

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