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中国で開発中の「人工太陽」、1億2000万℃を101秒間持続させ記録更新

中国で開発中の「人工太陽」、1億2000万℃を101秒間持続させ記録更新
flickr_Camilla Cannarsa

中国で「人工太陽」と呼ばれる装置の実験が行われ、これまでの目標を上回り、記録を更新した。

 

1億2000万℃を101秒間持続

 

その装置とは「先進超伝導トカマク型核融合エネルギー実験装置(EAST)」と呼ばれるもので、炉心内部に太陽よりも高い温度を作り出せるという。

 

そして以前から、実験が行われていたが、炉心部のプラズマ温度1億℃を100秒間持続させることを成功させてきた。

 

そして今回、実験によりプラズマ温度1億2000万℃を101秒間も維持することに成功。また1億6000万℃も20秒間持続させたとして、これまでの記録を塗り替えた。

 

ちなみに太陽のコア温度は1500万℃と考えられているので、この装置のコアのプラズマは太陽の約7倍の温度になる。

 

深圳にある南方科技大学のLi Miao氏は、取材に対して「今回のブレークスルーは大きな進歩であり、最終的な目標は温度を安定したレベルで長期間維持することです」と語っており、今後の目標は1週間以上の安定性を維持することではないか、と語った。

 

クリーンエネルギーを生み出せる可能性

 

この「EAST」は「中国科学院合肥物理科学研究所」に設置されており、太陽や星において自然に起きる核融合反応を再現できるよう設計されているという。

 

そして核融合反応をコントロールすることで、ほぼ無限のクリーンエネルギーを供給することを目的にしている。このため「人工太陽」とも呼ばれてきた。

 

アモイ大学中国エネルギー経済研究センターのLin Boqiang氏によれば、もしこの技術が商業的に応用できれば、莫大な経済的利益をもたらすと考えられるという。

 

しかし、まだこの技術は実験段階であり、研究室から出て、この技術が使われるためには、少なくとも30年間は必要だと考えられている。

 

この「EAST」の実験は、国際熱核融合実験炉(ITER)施設の一部で行われ、このITERは日本や中国、EU、韓国、インド、ロシア、アメリカなどにより共同で建設が進められているという。

 

またこの成功は、将来の国際的な核融合の平和利用にとって重要な意味を持つと言われている。(了)

 

出典元:Global Times:China maintains ‘artificial sun’ at 120 million Celsius for over 100 seconds, setting new world record(5/28)

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