メスのサメしか飼われていない水槽で子供が生まれ、科学者も驚き
水族館の水槽で飼われていた2匹のメスのサメ。これまでの10年間、水槽にオスが入ったことはない。それにもかかわらず、メスの1匹が子供を産んだ。
スペインの水族館で
この不思議な出来事は、スペインのサルデーニャ島にある水族館「 Acquario Cala Gonone」で起こった。生まれた子ザメは水族館スタッフによって「Ispera(イスペリア)」と名付けられ、元気に泳ぐ姿がフェイスブックに投稿されている。
専門家は、卵子ができる過程で形成される「極体」というものが精子の代わりとして働いたのではないかと考えているそう。通常なら「極体」は減数分裂の過程で卵子からはじき出され、そのまま消滅してしまうが、時にそれが消滅せず、まるで精子のように卵子と再結合することがあるらしい(Wikipedia)。これは「単為生殖」と呼ばれ、生まれた子供は母親と同一のDNAを持つクローンということになる。
DNA解析で確認中
この件を報じた海外メディアによれば、現在、水族館の海洋生物学者がDNAのサンプルを専門の研究所に送り、解析を依頼中だとのこと。母子のDNAが同一なら単為生殖に間違いないことになる。
単為生殖は、種の個体数が減少し、オス・メスが出会って交尾できる機会が減ったとき、ごく稀に起こるものらしい。今回の子ザメの場合、母親は10年間オスのいない水槽に暮らしていたのだから、その可能性は高そうだ。
虫や蜘蛛、甲殻類などの無脊椎動物では、単為生殖はそれほど珍しくないと言われている。両生類や爬虫類、魚類では例が少ないが、あることはあるらしい。
メディアによれば、これまでに3種のサメ——シュモクザメ、カマストガリザメ、トラフザメ——の単為生殖が確認されているとのこと。SwitchNewsの過去記事『豪のサメが処女懐胎?交尾をせずにメスが子供を産む現象が確認される』でも、サメの単為生殖を紹介している。
今回生まれた子ザメ「Ispera」はホシザメという種類。解析の結果母子のDNAが一致すれば、この種で初めて確認される単為生殖となる。(了)
出典元:New York Post:‘Miracle’ baby shark born in tank of females living together for decade(8/19)
出典元:UPI:Baby shark born in aquarium tank where only females are kept(8/20)