木星の衛星「エウロパ」の大気に水蒸気を確認、ハッブル宇宙望遠鏡で観測
NASAと欧州宇宙機関(ESA)との観測により、木星の衛星に水蒸気が存在することが確認された。
水蒸気は片方の半球にだけ存在
実は最近も、NASAとESAの天文学者らが、ハッブル宇宙望遠鏡を使い、木星の衛星「ガニメデ」に水蒸気があることを確認したという。
そして今回も同じような技術を使い、過去の映像や波長を分析。その結果、同じ衛星「エウロパ」にも水蒸気が存在することが確認された。
また分析では水蒸気は、「エウロパ」の進行方向と常に反対側にある半球にしか存在していないことが明らかになったという。
太陽系でも6番目に大きな衛星
「エウロパ」は木星にある79個の衛星の1つで、6番目に木星に近く、また太陽系の中でも6番目に大きい衛星とされている。
また矮小惑星の冥王星よりも大きな氷の球体で、滑らかな氷の表面はひび割れ、裂け目が走っているそうだ。
また「エウロパ」の表面は薄暗く、平均気温はマイナス171℃、希薄な大気しかない荒涼とした環境と考えられている。
しかし、これまで天文学者らは「エウロパ」には氷の下に巨大な海が広がっていると考えており、地球外生命体が存在するのではないかと推測する科学者もいるという。
そして今回、初めて「エウロパ」の大気に水蒸気を確認。水蒸気の分布が非対称であることは、コンピュータシミュレーションによる先行研究で予測されていたが、今回初めて観測によって確認された。
これらの結果は、「エウロパ」の大気構造についての理解を深めるとともに、探査する今後のミッションの基礎になると考えられている。(了)
出典元:ESA:Hubble finds evidence of persistent water vapour atmosphere on Europa(10/14)