新たな免疫療法の薬で、14人の患者全員から癌が消滅
アメリカの病院で、癌の薬に対する小規模な臨床試験が行われ、今までのところ患者全員が回復したという。
免疫療法薬を6カ月間投与
その臨床試験が行われたのは、ニューヨークにある「メモリアル・スローン・ケタリング癌センター」とされている。
ここでは直腸癌を患っている14人の患者に、製薬会社「グラクソ・スミスクライン」の「ドスタリマブ(dostarlimab)」と呼ばれる免疫療法薬を6カ月間投与したという。
その後、14人全員の体から癌が消滅。身体検査、内視鏡検査、PETスキャン、MRIスキャンでも検出されなかったそうだ。
6~25カ月も癌のない状態が続く
患者は全員、局所進行期の直腸癌で、ミスマッチ修復欠損症(MMRd)と呼ばれる珍しい変異を有していたという。
また患者は、「ドスタリマブ」を3週間ごとに6カ月間投与されたが、この薬は癌細胞を露出させ、免疫システムがそれを識別し、破壊できるように作用するそうだ。
CBSニュースの医療寄稿者であるデビッド・アグス医師は、次のように説明している。
「この新しい治療法は、免疫療法の一種であり、癌細胞の “私を食べないで “という信号をブロックして、免疫システムが癌細胞を排除できるようにする治療法なのです」
6カ月以上の経過観察の後も患者達には、手術や放射線、化学療法という標準的な治療をせずに、癌の兆候が見られなかったという。
またどの患者にも癌は再発しておらず、臨床試験終了後6~25カ月の範囲でも、癌がない状態になっているそうだ。
しかも、どの患者も深刻な副作用に悩まされなかったと言われている。
まだ小規模な臨床試験の段階
ただし研究者達は、この小規模な臨床試験が、腫瘍に稀な遺伝的特徴を持つ患者にのみ焦点を当てていることを指摘しているという。
その上で、この臨床試験が今後、より大規模な形で再現される必要があることも認めている。(了)
出典元:CBS:Every patient in this experimental drug trial saw their cancer disappear, researchers say(6/7)