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NASAの火星探査車に搭載されたカーバッテリーほどの大きさの装置が、火星の大気から酸素を安定的に生成することに成功した。

火星の大気から酸素生成

「MOXIE」と呼ばれるその装置は、2021年に火星に送り込まれた探査車「バーサヴィアランス」に搭載されたもの。探査車が着陸してから約2ヶ月後の2021年4月から実験的な稼働を始め、最初の酸素生成に成功していた。その時点では実用化できるほど安定的な生成が可能かは分からなかったが、8月31日に発表された論文でそれが明らかになった。

MOXIEの稼働は、火星上の気象条件の異なる夜間と昼間に7回行われた。その結果、1時間に6グラムの酸素を生成できることが確認された。この量は地球上で樹木1本が生成する酸素量と同じで、当初からの目標でもあった。

現在の酸素生成量は少ないが、今回の成功には歴史的な意義があるとのこと。プロジェクトの責任者であるJeffrey Hoffman教授（マサチューセッツ工科大学）は、次のように話す。

「今回の成功は、地球以外の惑星の資源から人に有用なものを化学的に作り出せることを示した最初の例です。その点から、歴史的なことと言えます」

スケールアップして人の滞在を容易に

NASAの科学者たちは今後MOXIEの規模を拡大して、樹木数百本分の酸素を生成できるようにしたいと考えている。実現すれば、火星に人が長期滞在する際に、地球から酸素を輸送する必要がなくなる。

また、ロケットエンジンには燃料だけでなく（個体や液体の）酸素も必要だが、それも火星上で作れるようになる。そうすると、地球に帰還するロケットに使う酸素も、わざわざ地球から運ぶ必要がなくなるとのこと。

「火星の大気は、地球の大気より遥かに価値があるのですよ」とHoffman教授は言う。現在のMOXIEは、気温差の激しい火星の明け方と夕方には稼働できていない。これからの改良で、常時酸素生成できるようにするそうだ。（了）

出典元：Good News Network:Machine Just Turned Martian Atmosphere Into Pure Oxygen Just Like a Little Tree(9/22)
出典元：MIT News:MIT’s MOXIE experiment reliably produces oxygen on Mars(8/31)