mRNAを使った癌ワクチン、イングランドで秋にも臨床試験を開始予定
イングランドでは、メッセンジャーRNA(mRNA)を使った癌ワクチンの臨床試験が、早ければ今年の秋から開始されるという。
「ビオンテック」との覚書に署名
イギリスのスティーブ・バークレイ保健大臣は1月6日、ファイザー社と新型コロナワクチンを共同開発した企業「ビオンテック(BioNTech)」との覚書に署名。
癌に対して、最良の治療法ができるだけ早く利用できるようにすることを約束した。
これによりイングランドでは、癌患者が、癌ワクチンなどのmRNA治療法を研究する臨床試験に、早ければ秋から参加できるようになるという。
個人に合わせて提供される治療法
そもそも化学療法では、癌だけでなく、多くの異なる細胞を標的にしてしまう。
しかしこのmRNAの治療法は、個人に合わせて作られ、特定の癌の遺伝子コードを免疫システムに与え、腫瘍のみを攻撃することができるという。
「ビオンテック」がイギリス政府と提携したことにより、新しい研究開発ハブを通じて、2030年までに国内の患者に1万回分の個別療法を提供することが可能になるそうだ。バークレイ保健大臣は次のように述べている。
「癌が発見されたら、乳癌、肺癌、膵臓癌など、できるだけ早く最良の治療法が利用できるようにする必要があるのです。ビオンテック社は、新型コロナワクチンで世界をリードすることに貢献し、科学的進歩、革新、最先端の科学技術に対する我々のコミットメントを共有しており、癌ワクチンで協力するための取引に最適なパートナーです」
「ビオンテック」のCEO兼共同創業者のUğur Şahin教授も、次のように述べている。
「私たちの目標は、20年以上研究してきた技術を使って、免疫療法とワクチンの開発を加速させることです。この共同研究では、世界中で数億人の人々に影響を及ぼす様々な種類の癌や感染症を対象とする予定です」(了)
出典元:The Guardian:Cancer vaccine trials could start in England by autumn(1/6)