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人工皮膚を立体的に作ることに成功:コロンビア大学

人工皮膚を立体的に作ることに成功:コロンビア大学
Columbia University Irving Medical Center

研究者たちが人工皮膚を複雑な3次元の形状に作ることに成功し、今後の治療に生かされる可能性が出てきた。

 

不規則な体の形状では移植が難しい

 

この研究を行ったのは、アメリカ・コロンビア大学の生物工学者らだ。

 

そもそも人工皮膚は通常、平らな断片になっているため、不規則な体の形状に縫い合わせるのは難しく、時間がかかるという。

 

そこで研究者らは、人工皮膚を複雑な三次元の形状に成長させる方法を考案。実際に作り上げることに成功した。

 

これにより、例えば、重度の火傷を負った手に簡単にはめられる、継ぎ目のない皮膚細胞の「グローブ」を作ることが可能になったそうだ。

 

Columbia University Irving Medical Center

人間の手をレーザースキャン

 

新しい皮膚の作成プロセスは、まず人間の手などの対象構造物を3Dレーザースキャンすることから始まるという。

 

次に、設計を支援するコンピューターと3Dプリンターを使い、通気性のある手の模型を作るそうだ。

 

そしてこの模型の外側に、皮膚の結合組織を作る皮膚線維芽細胞と、コラーゲン(構造タンパク質)を植え付ける。

 

最後に、型の外側をケラチノサイト(皮膚の表皮の大部分を構成する細胞)の混合物でコーティングし、内側には成長培地を注入して、発達中の移植片を支え、栄養を補給するという。

 

Columbia University Irving Medical Center
Columbia University Irving Medical Center

人工皮膚をマウスの後ろ足に移植

 

3D人工皮膚の最初のテストでは、ヒトの皮膚細胞からなる人工皮膚を、マウスの後ろ足に移植することに成功したという。

 

手術全体は10分程度で済み、4週間後には移植片がマウスの周囲の皮膚と完全に一体化し、マウスは四肢の機能を完全に取り戻したそうだ。

 

この三次元皮膚構造体は「生体衣料」とも呼ばれ、移植可能で、尚且つ縫合の必要性を劇的に減らし、手術の期間を短縮、美的効果も向上させるという。

 

また今回の研究では、連続的につながっている3D移植組織が、従来の繋ぎ合わせた移植組織よりも、機能的特性に優れていることも明らかになったそうだ。

 

研究者たちは今後、皮膚の状態が人間に近い大型の動物で、移植をテストする予定だとしている。(了)

 

出典元:CUIMC:Bioengineered Skin Grafts that Fit Like a Glove(1/31)

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