ドイツで30万年前の人類、「ホモ・ハイデルベルゲンシス」の足跡を発見
ドイツ北西部の町、シェーニンゲンにある旧石器時代の遺跡から、30万年前の人類とみられる複数の足跡が発見された。
前期旧石器時代の遺跡で発見
その遺跡は前期旧石器時代(約300万年~30万年前)のものとみられ、そこから初期人類の大人と子供とみられる3人の足跡が見つかったという。
その初期人類は、絶滅した「ホモ・ハイデルベルゲンシス(H. heidelbergensis)」とみられ、この種は約70万年~20万年前まで存在したと考えられている。
今回見つかった足跡は約30万年前のもので、1つの足跡は明らかに大人のものだったが、他の足跡はずっと小さかったそうだ。
ドイツから「ホモ・ハイデルベルゲンシス」の足跡の証拠が出たのは、これが初めてとされている。
ゾウやサイの足跡も発見
今回の研究論文の主執筆者である、ドイツ・テュービンゲン大学の考古学者、フラビオ・アルタムラ氏は、次のように語っている。
「1つの足跡は明らかに大人のものでしたが、他の足跡はずっと小さかったのです。2つの足跡が若い人のものであることから、これはその場に子供がいたことの証明にもなります。子供の骨を探して見つけるのは非常に稀で、道具や食べ物のゴミ、子供の行動を結びつけるのはとても困難です。しかし新しく発見された足跡は、30万年前の子供とはどのようなものであったかを知る手がかりになります。これは、先史時代における子供時代の貴重なスナップショットなのです」
また今回の遺跡からは、先史時代のゾウやサイの足跡も発見されたそうだ。
そのゾウは、「パラオロクソドン・アンティークス」と呼ばれ、体重は13トン、まっすぐな牙を持ち、当時最大の陸上動物だったという。
またサイの足跡から、この動物が「Stephanorhinus kirchbergensis」だと判明。これはヨーロッパで初めて発見された、サイの足跡になるとか。
この遺跡はかつて湖畔だったとされ、研究者らは、獣の群れがそこに集まって水を飲み、初期の人類とその子供たちの家族が湖畔で食事をし、水浴びをしていたと考えている。
エチオピアにも70万年前の足跡
もっとも今回の足跡は、最も古い「ホモ・ハイデルベルゲンシス」の子供の足跡ではない。
2013年から2015年にかけて、エチオピアのメルカ・クントゥレと呼ばれる70万年前の遺跡で、人類の足跡と動物の足跡が発見されたという。
そこには11人の大人と生後12カ月と思われる子供の足跡が集まっており、道具を作り、動物を屠殺した時に子供がいたことが示唆されたそうだ。(了)
出典元:Livescience:300,000-year-old footprints reveal extinct humans went on a lakeside family outing among giant elephants and rhinos(5/17)