世界で初めて眼球全体の移植手術、片目を失った男性患者に実施
アメリカ人の男性患者に対して、世界で初めて眼球移植が行われ、今のところ経過も良好だという。
アーカンソー州の男性に移植
その男性患者とは、アーカンソー州ホットスプリングスに住むアーロン・ジェームズさん(46)だ。
彼は2021年、高圧送電線の事故により、左目を喪失。しかし今年、「ニューヨーク大学ランゴン・ヘルス(NYU Langone Health)」の外科医たちは、彼に眼球を丸ごと移植する手術を行ったという。(同時に顔の一部の移植も行う)
そして11月9日、「ニューヨーク大学ランゴン・ヘルス」の外科チームは、手術後の経過がうまくいっていると明らかにした。
A team at NYU Langone Health performed the world’s first-ever whole-eye and partial face transplant with remarkable signs of health in the eye, offering a major paradigm shift for potential vision therapies.
Learn more about this landmark procedure: https://t.co/op5m6mUIus pic.twitter.com/mSPbJsuqQ3
— NYU Grossman School of Medicine (@nyugrossman) November 9, 2023
血流も良好で、拒絶反応もなし
ジェームズさんもAP通信に対して、次のように語っている。
「気分はいいです、まだ動きはありません。私の瞼ですが、まだ瞬きもできません。でも、今は感覚があります。(略)どこかに最初の人がいるはずです。そこから何かを学んで、次の人を助けることができるかもしれません」
専門家の中には、移植された眼球がすぐに萎んでしまうのではないかと危惧していた人もいたという。
しかし移植手術を率いたEduardo Rodriguez医師が先月、ジェームズさんの左瞼を開いてみると、眼球はふっくらとし、液体で満たされていたそうだ。
また医師たちは、眼球の血流も良好で、拒絶反応の兆候もないと見ている。
現在、角膜の移植は頻繁に行われているが、眼球全体、つまり眼球とその血液供給、そして脳とそれをつなぐ重要な視神経を移植することは、前例がないという。
そして今回の手術は、人間の目がどのように治癒していくのかについて科学者たちに知見を与え、失明の治療を探る初めての試みと考えられている。(了)
出典元:The Guardian:Surgeons perform world’s first human eyeball transplant in New York(11/9)