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米国の風刺画家、トランプ大統領の絵を描いたことが原因で解雇され物議に

米国の風刺画家、トランプ大統領の絵を描いたことが原因で解雇され物議に
© 2018 Rob Rogers. All rights reserved.

米国ペンシルバニア州の新聞「Pittsburgh Post-Gazette」で25年間勤務した風刺画家が、トランプ大統領の風刺画を描いたがために解雇されたとして訴え、物議を醸している。

 

25年もの勤務の中で突然訪れた変化

 

トランプ大統領の風刺画を描いたために社を解雇されたと訴えるのは、Rob Rogersさん。

 

Rogersさんは今月14日、25年間勤務したPittsburgh Post-Gazetteから解雇されたという。

 

そもそも、RogersさんがPittsburgh Post-Gazetteへ入社したのは1993年のこと。以降長期にわたり、彼の風刺画は週に5日ほどのペースで新聞に掲載され続けてきたという。

 

しかし、今年の5月末頃より変化が訪れる。

 

Rogersさんによると、この頃を境に彼の描く風刺画は紙面から姿を消し始めたというのだ。

 

さらに決定的となったのは、Rogersさんが描いた6つの連作がボツになったこと。そしてこの3ヵ月以上の間で、彼が描いた19もの風刺画と企画は編集者のKeith Burris氏、あるいは編集長のJohn Robinson Block氏によって却下され続けてきたという。

 

© 2018 Rob Rogers. All rights reserved.

 

一方、Rogersさん本人は風刺画がボツとなった理由について公式の説明は受け取っていないとしている。

 

しかし、彼はその代わりとして風刺画の規定や承認にかかる手順などを規定したガイドラインを受け取ったと説明。

 

この時の心境について、「彼らは私が仕事を行うための能力を、制限することができるようにし始めていると感じました」とRogersさんは言う。

 

「私を解雇しようとしているように感じました」

 

そして今月14日、Rogersさんは彼自身が予感していた通り、社を解雇されてしまう。

 

© 2018 Rob Rogers. All rights reserved.

 

背景には“右寄り”論説委員の就任か

 

この突然の解雇の背景には一体何があったのか。

 

この裏には今年の3月に行われた、Pittsburgh Post-Gazetteを所有するBlock Communicationsによる合併と、Burris氏の論説委員としての採用があるとみられている。

 

この後Burris氏は幾度にもわたり、トランプ大統領を称賛するかのような記事を執筆。編集面は右寄りへのシフトをみせていた。

 

一方この件に関してBurris氏は、自身はRogersさんよりは“右寄り”であるかもしれないと認めつつも、「我々はトランプ大統領の風刺画を描くなとは言っていない」と説明。

 

しかし「毎日トランプ大統領の風刺画では興味深くもなければ面白おかしくもなく、ただ怒っているだけでは特段人目を惹くわけでもない」との主張を行っている。

 

Rogersさん解雇には他メディアも反応

 

Rogersさんはこれまでに数多くの賞を受賞しており、1999年には米国の報道界で最も権威ある賞、ピューリッツァー賞のファイナリストとなったことでも知られる。

 

 

そんな彼の解雇騒動は、他メディアやRogersさんを支持してきたファンらの怒りを買っている。

 

この件についてNew York Timesは“もし風刺画家が、雇用者の好まない、あるいは上司によって社長が好まないと判断された表現を行うことによって、検閲されたり解雇されるということがあれば、そのメッセージは明白だ。‘お前の仕事は自分自身の意見を表現することではなく、代弁者になることだ’”と糾弾。

 

Association of American Editorial Cartoonistsの代表Pat Bagley氏も、“Rogersさんの解雇と彼の風刺画の編集面からの不在は表現の自由と、自由で開かれた思想界を台無しにする行為だ”と声明の中でPittsburgh Post-Gazetteを批判している。

 

さらにこの騒動に関しては、Pittsburgh Post-Gazetteのお膝元であるピッツバーグ市の市長Bill Peduto氏も言及。

 

Rogersさんの解雇は残念であると同時に、“報道の自由に関して誤まったメッセージを送ってしまっている”と同紙を厳しく非難している。

 

© 2018 Rob Rogers. All rights reserved.

 

トランプ大統領の風刺画を描いたがために解雇となったRogersさん。このような形で言論の自由を封じることがまかり通ることにならないか、米国メディアの行く末が気になるところだ。(了)

 

出典:New York Times:Pittsburgh Post-Gazette Cartoonist Fired as Paper Shifts Right(6/15)

出典:The Guardian:Pittsburgh cartoonist says he was fired after 25 years for making fun of Trump(6/16)

出典:New York Times:The Firing of a Cartoonist(6/18)

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