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「観光客は帰れ!」スペインで街を訪れる旅行者への嫌がらせが増加

「観光客は帰れ!」スペインで街を訪れる旅行者への嫌がらせが増加
Twitter/CUP Palma

スペインでマスツーリズム(観光の大衆化)に反対するグループが抗議活動を活発化させ、旅行者への嫌がらせともとれる事件が発生している。

 

「マスツーリズムを止めろ」と主張

 

そのグループの名前は「Arran」。2012年に結成され、カタルーニャ地方の独立と資本主義システムの終焉、さらに世界の不公正を訴えてきた左翼的なグループだという。

 

そのメンバーの1人は先日、マスクをして観光客を乗せたバスのタイヤを裂き、車体に彼らのスローガンを描いたそうだ。

また他のメンバーもバルセロナで、観光客が借りていた自転車を破壊。さらにマヨルカ島のパルマではビーチサイドのレストランで暴れ、その後発煙筒を焚き、彼らのスローガンを横断幕で掲げたとされている。

Twitter/CUP Palma

そのスローガンとは「マスツーリズムを止めさせろ!それは領土を破壊する、そしてカタルーニャの労働者階級を不幸に陥れる」と書かれており、訪れる観光客や旅行業界を非難する内容になっているとか。

 

「Arran」の広報官はBBCの取材に対し次のように述べている。

 

「私たちは反資本主義者です。私たちはこのシステムを破壊したい。そして観光業界は、システムの一部なのです。今日の観光業のビジネスモデルは、人々を住んでいる場所から追いやっています。また環境を破壊しています。実際、海岸沿いにはいたるところにビルが建てられるのを、私たちはずっと見てきました。私たちの抗議活動は破壊行為ではなく、自己防衛なのです」

 

物価や家賃が高騰し、住めない人も

 

彼らが支持される背景には、生活に密着した問題があるようだ。BBCによれば、高い失業率にも関わらず、住民にとっての一番の問題は「観光業」になっているという。

 

しかし多くの住民は観光業を拒絶しているのではなく、むしろ政府などにしっかり規制をしてもらいたいと願っているそうだ。

 

実際、緩やかな規制がAirbnbなどの安い宿泊施設の浸透に繋がっているとされ、さらにBBCのジャーナリストであるCarol Olona氏によれば、観光業界に流れる資金が、街の中心部での物価を押し上げているという。

 

多くのスペインの若者が1カ月で1000ユーロ(約13万円)しか稼げない中で、バルセロナの中央部にある普通のアパートの家賃は1カ月で800ユーロ(約10万円)にもなっているそうだ。

 

その結果、住民の多くが居心地のよい部屋を探すのに苦労しており、郊外の小さな家へ引っ越す人もいるとされている。

 

しかもバルセロナは海に面し、山に囲まれた地形のため空間を拡張させることもできず、家賃や土地の価格を下げる方法も見当たらない状況だとか。

 

そんな状態にも関わらず政府などが対処をしないために、多くの住民が不満を持ち、「Arran」の活動も活発化しているという。

しかし今回の事件のように観光客への嫌がらせなどは、やはり間違っているという意見もある。

 

バルセロナのAda Colau市長は取材に対し「私たちは観光客を乗せたバスへの襲撃を非難します。観光業に対する抗議は、決して観光客を怖がらせることではないのです」と語ったそうだ。(了)

 

出典元:INDEPENDENT:Anarchist group threatens new attacks on tourists in Spain after targeting Barcelona and Mallorca(8/5)

出展元:BBC:‘Tourists go home’: Leftists resist Spain’s influx(8/5)

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