イラクの裁判所がISISに所属していた男女、300人以上に死刑を宣告
イラクの裁判所がこれまでに、トータルで300人以上の元ISISメンバーに対し、死刑判決を下していることが司法関係者からの情報で明らかとなった。
バグダッドとモスルの2カ所で裁判
元ISISメンバーに対するこれまでの裁判は、かつてISISの本拠地とされたイラク北部のモスルと、首都のバグダッドで行われてきたという。
そして今週の水曜日、バグダッドの裁判所は6人のトルコ出身の元メンバーに死刑を宣告。その結果、今年の1月以来この裁判所では、103人の外国籍の男女に対し死刑判決を下し、185人に終身刑を言い渡したことになる。
一方、モスル近郊のテルキーフの裁判所では、これまでに212人の元メンバーに死刑が宣告され、150人が終身刑に、341人に有期刑が言い渡されたという。
最高裁のスポークスマンである、Abdel Sattar Bayraqdar氏は次のように語っている。
「被告らの犯罪的行為は、法に基づき行われた公開ヒアリングの場において証明されました。その間は被告の権利も保証されていました」
下の動画はISISの戦闘員が投降する場面。
This is what winning looks like, hundreds of Isis fighter surrender to a Iraqi forces pic.twitter.com/BFZRdptCI8
— GITMO 🇺🇸 (@President1Trump) August 31, 2017
無実の人間を死刑にするリスクも
これらの判決を受け、今週月曜日にはイラクの法務大臣が、テロに関わったと判決が下された11人に対し、死刑を実施したと発表している。
しかしニューヨークに拠点を置く人権監視団体「Human Rights Watch」によれば、これらの処刑は急いで行われた裁判の結果に基づくもので、適正な法の手続きについては違反だらけだという。
実際に判決は自白のみに基づいて下されたが、それは時には拷問によって引き出されていたと述べている。
その上で「Human Rights Watch」の上級イラク調査官、Belkis Wille氏は「イラクのISIS裁判での誤ったかじ取りは、犠牲者への真の正義を否定するだけでなく、無実の人間を死へ追いやるリスクもあるのです」と語っている。
イラクではISISが樹立される前から、テロ事件の容疑者をめぐる裁判で多くの被告を死刑に処し、以前から問題視されてきた。
そして昨年12月にイラク政府は、かつて領土の3分の1を支配したISISに対して勝利宣言を行ったが、再び地域が不安定化しないためにも、公平で緻密な裁判が求められているのかもしれない。(了)
出典元:MailOnline:Iraqi courts sentence 300 male and female ISIS members to death(4/18)
出典元:Journal Post:Iraqi courts sentence 300 ISIS members to death, including both males and females(4/18)
参考:CNN:イラク、1日で21人の死刑を執行(2012/8/30)