シリアのアレッポで餓死寸前だった動物たち、保護団体が救出に成功
内戦で激しい戦闘が繰り広げられてきたシリア北部の街、アレッポで、園内に閉じ込められていた動物たちを救う作戦が行われた。
危険を冒し、動物園に侵入して救出
この作戦を実施したのは国際的な動物保護団体の「Four Paws International」。
彼らによればアレッポにあるアミューズメント・パーク「Aalim al-Sahar(Magic World)」には、多くの動物が残っており、飢餓の瀬戸際に追い込まれていたという。
そこで7月21日、スタッフらはセキュリティの専門家の協力を得て、非常に危険な状況をかいくぐり、動物園に到着。
3頭のライオンと2頭のトラ、2頭のアジアン・ブラックベア、2頭のハイエナを動物園の檻から連れ出し、救出することに成功した。
しかし救われた動物たちはやつれ、脱水症状を起こし、小さな傷で苦しんでいるものもいたそうだ。しかもまだ多くの動物が残されており、さらなる救援活動が必要だとしている。
檻に閉じ込められ爆撃などで死亡
2011年に始まったシリアの内戦により、アレッポでは戦闘が激化。動物園のオーナーや飼育員も避難を余儀なくされ、動物たちをそのまま残して行かざるを得なかったという。
そのため動物たちは鍵がかかった檻に閉じ込められ、逃げることができなかったそうだ。
しかも動物園も数々の砲弾で損傷し、動物たちも銃撃戦に巻き込まれたり、餓死したりして命を落としたとされている。
今回の救出作戦を行なったFour Pawsの獣医師、Amir Khalil氏は、取材に対し次のように語っている。
「水や食べ物の欠如、さらに獣医のケアのない状態により、動物たちは肉体的にも精神的にも大きな傷を負いました。何頭かの動物は、激しい爆撃で殺されました。彼らには死の檻(罠)から抜け出す方法はなかったのです」
トラックでトルコとの国境へ運ばれる
アレッポは現在、シリア政府軍の統治下に置かれているが、昨年は反政府勢力との間で1カ月に渡り、街の東半分の支配権を巡って激しい戦闘が続けられたという。
そして今も所々で戦闘が行われ、街の一部は破壊されたままで、復旧には程遠い状況だと言われている。
そんな中、Khalil氏らは地元の獣医とセキュリティ・アドバイザーの協力を得て動物園に入り、9頭の動物たちを輸送トラックのケージに入れたそうだ。
その後、トラックはトルコの動物保護団体の協力によりシリアとトルコ国境へ移動。その際も水や食料が与えられ、国境では他のチームが合流し、動物たちに治療を行ったという。(了)
出典元:GMA:9 starving animals rescued from abandoned zoo in war-torn Aleppo, more remain(9/28)