ドイツで“自分のコーヒーは自分で払う”が難民の合言葉に、その理由とは
ドイツで“自分のコーヒーは自分で払う”との合言葉が、難民らの間で急速に広まっている。
きっかけはドイツの極右政党による事実無根の発言
このきっかけとなったのは、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」による発言だ。
先週7人のAfD党員が、難民申請に失敗し帰国せざるを得ないシリア難民に対して、同国が安全であることを示すためシリアを訪問。
この際シリアを訪れたAfD党員のうちの一人Christian Blex氏が、戦争によって大きな損害を受けた都市の一つ、ホムスでコーヒーを飲む写真をFacebookに投稿。
そこに「いわゆるホムスからの“シリア人”“難民”が、ドイツ人の納税者の支出によりベルリンでコーヒーを飲んでいる一方、我々は自らの支出によりホムスでコーヒーを飲む」と綴ったことが、事実ではないとして難民らの怒りを買うこととなった。
シリア人難民らの怒りを買う
この投稿の後、ドイツの難民の間ではコーヒーを飲む写真を“自分のコーヒーは自分で払う”とのハッシュタグ付きでソーシャルメディア上に投稿する動きが急速に拡大。
中にはコーヒーと共に“自分のコーヒーは自分で払う”と声に出して言う映像を投稿している人までいるとのことだ。
自らもハッシュタグ付きで写真を投稿したシリア難民のOula Sulimanさんは、「Christian Blex氏によるこの写真を見た際、これは侮辱であると感じました」と語る。
Sulimanさんによると、勤務先のベルリンにある難民統合センターで働いている際に出会ったシリア人難民らは、皆仕事を見つけたがっていたが、実際ドイツで彼らが仕事を見つけるのは困難であるという。
また同じく写真を投稿したシリア難民のMouhannad Malekさんは、このハッシュタグによるメッセージは、AfDに対してシリア人もドイツ社会の一部であることを示すためだと主張。
彼は2016年にドイツへと渡航したが、現在はベルリンで細胞生物学と腫瘍学の研究者として働いており「我々は難民であり移民です。そして我々はドイツの人口に加わろうとしているんです」と語る。
さらにMalekさんは「Blex氏がシリアを訪れた際、おそらくコーヒーは自分で買ったのでしょうが、セキュリティに関しては身銭ではありません。その金はシリア人の納税者により支払われています」とも指摘している。
昨年11月、国政選挙で第3党の位置につけて以来、AfDはシリアでの戦争がほぼ終結しているとして、ドイツに暮らす50万人ものシリア人を本国へと送還することを提案しているという。
安全なドイツへと逃れ、仕事を見つけてもなお続くシリア人難民らの困難。AfDによる心無い発言に彼らが怒りの感情を覚えるのは当然だろう。(了)
出典:Reuters :Syrians to far-right German politician – We pay for our own coffee(3/17)
出典:euronews:Germany: Storm in a coffee cup(3/16)