ノルウェーの航空業界が、電気によって飛行する航空機の運用を目指す
ノルウェーが航空機の運航を電気によって行うことを目指しているとして、注目を浴びている。
電気輸送において先端を行くノルウェー
ノルウェーは西洋において最も多くの石油・ガスを産出する国家である一方、電気を用いた輸送手段の分野においても最先端を走ってきた。
同国は2015年に世界初となる電気フェリーの運航を開始。さらに2025年までに二酸化炭素を排出する車の販売を禁止する合意にも至っている。
それに続き今回同国が目指すのは、航空機をも電気の力によって運航させることだ。
この取り組みを行うのはノルウェーの航空会社Wideroeだ。同社は2030年までに自社が運航する航空機を、電気によって飛行するものに変更させるとしている。
Wideroe é a primeira do mundo a receber o Embraer 190-E2 – https://t.co/pT5fV7lR34 pic.twitter.com/zT9vsNJDcU
— Aviação Brasil (@aviacaobrasil) April 4, 2018
ノルウェーの国営会社「Avinor」で飛行場のオペレーターの主任を務めるDag Falk-Petersen氏は、「航空機の製造業者はこれを行わなければならないことをわかっている。さもなければ、テスラが彼らのポジションを奪ってしまうだろう」と、テスラが自動車業界に与えた影響を引き合いに出しながら述べる。
さらにFalk-Petersen氏は、「2040年までに、ノルウェー(の輸送機関)が全てを電気で運用するということは、私の中では疑いのないことだ」と自信をみせる。
飛行機が排出する二酸化炭素量は以前から問題視
飛行の際に二酸化炭素と共に窒素酸化物や蒸気を排出する航空機は、地球温暖化にもたらす影響が大きいとして近年問題視されてきた。
一方、国際航空運送協会の見積もりによると、2036年までに航空機の利用者は世界で年間78億人に達し、現在のほぼ倍となることが予想されており、そのため地球温暖化防止のため有効な対策を講じることは急務とされてきた。
2009年の気候変動サミットにおいては、国際航空運送協会は航空業界全体で2050年までに二酸化炭素の排出量を、2005年水準で50%減少させるという目標を設定。電気によって運航される航空機は、この意欲的な目標の達成をも可能とさせるものと考えられている。
先日ノルウェーの首都オスロで航空会社のためのカンファレンスを主催したノルウェーの運輸・通信大臣Ketil Solvik-Olsen氏は、「多くの人が二酸化炭素放出と騒音を防ぐことはできないため、航空機はなくすべきだとしているが、これは時代遅れのアプローチだ」という。
製造業界も既に取り組んでいる電気飛行機
他方で電気によって飛行可能な航空機の開発は、既に製造業界におけて開始されている。
航空機メーカーとして世界最大企業のAirbusとBoeingは、両社共に電気によって飛行することが可能な航空機の開発に着手。
Airbusにおいては英国のエンジン製造業者Rolls Royceとドイツのジーメンスの協力の下、2020年に初の電気飛行機の飛行を目指している。
二酸化炭素排出の減少を目指し、石油やガスの代わりに電気をエネルギーとして用いる試みは自動車をはじめとする輸送機関で取り組まれてきた。
それが航空業界においても実現すれば、地球温暖化の進行にも良い影響が生まれるかもしれない。(了)
出典:The Local Norway:Norway aims to prove that aviation can go green(4/8)
出典:teleSUR English:Faced with Global Warming, Aviation Aims to Turn Green(4/8)