北朝鮮内部の実態が伺える写真の数々が公開され話題に
写真家Eric Lafforgueさんが北朝鮮で撮影した数々の写真が、インターネット上で公開され、話題を呼んでいる。
6回に及ぶ北朝鮮渡航により違法写真の数々を撮影
2008年から6回にもわたり北朝鮮へと渡航してきたというLafforgueさん。現地で撮影した写真の多くは違法であり、削除することを求められたものの、Lafforgueさんはそれらの写真をデジタルメモリーカードに保存していたという。
Lafforgueさんは北朝鮮の表面的な部分を見せられるだけのツアー旅行のようなものには関心がないといい、政権の管理が完全に及んでいない国内部や北朝鮮国民の姿を捉えることに努めてきたという。
「私は他の旅行者と同じような扱いを受けた」と語るLafforgueさん。当局者の監視の目が光る中、北朝鮮の実相を映し出す写真をいかにして撮影できたかということについては、「当局者は私に警察や軍といったものの写真を撮らせようとしなかった。しかし300mmの望遠ズームレンズを用いることによって、バスの後部座席から数多くの写真を撮影することができた」と説明している。
Lafforgueさんが北朝鮮国民や政府関係者の日常を撮影した写真は、数千枚にも及ぶという。ここからは、インターネット上で公開されている写真の中でも、特に興味深いと思われるものを順に紹介していくこととする。
まず一枚目にご紹介するのがこの写真。軍人の中央に一人佇む女性が印象的なこちらの写真であるが、北朝鮮では軍人の撮影は禁じられているといい、そのためこの写真も違法なものであるという。
一般家庭で子供らがコンピューターを操作しているのを捉えたこの写真。北朝鮮当局のガイドはこの写真の撮影を喜んで許可したというが、後に電気が通っていないことがわかり、削除を要請したのだとか。北朝鮮ではいまだに電気が通じないのは日常茶飯事である。
こちらは公園で草を摘む男性を映した一枚。男性が摘んだ草は食用として用いられるとみられるが、このような北朝鮮国民が困窮する実態を映した写真ももちろん違法である。
こちらも北朝鮮国民がいかに困窮しているかということが伺える写真。中央で釣りをしている男性が乗っているのは船ではなく、なんとタイヤである。
北朝鮮の農村近郊では、このように疲れ果てて座り込む人の姿も数多く見受けられるとのこと。自動車はおろかバイクにも手が届かない困窮した農民らは、農作業へと通うため毎日何時間も自転車に乗ることを強いられているという。
北朝鮮では国内を移動する際に許可がいるため、公共交通機関はほぼ存在しないという。そのため、車道脇では時折ヒッチハイクをする軍人の姿等が見受けられる。
まるでサーカスか何かのように見えてしまうこちらの写真は、清掃等に従事する人々が作業する様子を映した一枚。北朝鮮では、このようにほとんどないに等しい安全対策のもと、多くの人々が肉体労働に従事しているようだ。
平壌の水族館のイルカショーを映した一枚。しかし、観客の9割以上が軍人という様子は明らかに異様である。
6回目の訪問から帰国後渡航禁止に
「観光客向けに新たな地域が解放されれば、すぐにでも訪れてその様子を記録したい」と新たな写真撮影に意欲をみせるLafforgueさん。
しかしながら、6回目の渡航となった2012年の北朝鮮訪問から帰国した後、インターネット上で公開していた写真の数々が北朝鮮当局者によって発見されてしまう。
北朝鮮政府は写真の取り下げを要請したが、Lafforgueさんは「北朝鮮の良い面から悪い面、全ての側面を映し出しているため、要請に対しては拒否をした」としている。しかしこれにより、Lafforgueさんは北朝鮮への渡航を禁じられてしまったという。
Lafforgueさんは北朝鮮国民に関し、こんなことをも語っている。
「地方の家庭を訪問し食事を共にしていた際、ガイドのお陰で複数の地元民から数時間にもわたって話を聞くことができた。彼らは生活や夢など多くのことを語ってくれた。北朝鮮について知るべきなのは、北朝鮮国民は温かく、訪問者に対してとても好奇心旺盛で寛大であるということ。たとえ多くの人々がほとんど何も持っていないに等しいとしても」(了)
出典元:boredpanda:51 Illegal Photos Of North Korea That Kim Jong Un Doesn’t Want You To See(1/5)