サウジアラビアの大巡礼「ハッジ」で、14人が熱中症で死亡
サウジアラビアでは、聖地のメッカを訪れる大巡礼「ハッジ」が6月14日から始まったが、すでに高温により、熱中症で数多くの巡礼者が死亡している。
16日だけで2760人が熱中症など
ヨルダン外務省が16日に発表した内容によれば、「ハッジ」の儀式中にヨルダン人の巡礼者14人が死亡、17人が行方不明になったという。
ヨルダン外務省は、ヨルダン人が猛暑による熱中症で死亡したとし、現在サウジアラビア当局と調整して、死者をサウジアラビアに埋葬するか、ヨルダンに移送すると述べた。
イラン赤新月社も、今年の「ハッジ」で、メッカとメディナにおいて、これまで5人のイラン人の巡礼者が命を落としたと述べているが、死因については明らかにしていない。
サウジアラビア保健省の報道官も記者団に対し、6月16日だけで、2760人の巡礼者が熱中症や熱ストレスに陥ったと伝えているが、死者に関する情報は提供しなかった。
気温が47℃、熱中症対策も実施
サウジアラビアにあるイスラム教の聖地・メッカでは6月16日、気温が47℃に達し、翌17日にもこの気温に達すると予想されている。
サウジアラビア当局は、空調管理区域の設置や水の配布などの暑さを軽減する対策を実施しており、巡礼者に対しても太陽から身を守る方法をアドバイスしているという。
しかし儀式の多くは屋外で、しかも徒歩で行われるため、特に高齢者にとっては危険を伴っているそうだ。
サウジアラビア保健省はすでに6月13日に、気温上昇を警告する勧告を出し、巡礼者に対して水分補給を怠らず、午前11時から午後3時までの最も暑い時間帯には、屋外へ出ないよう勧告していた。
180万人以上のイスラム教徒が参加
「ハッジ」は世界最大の宗教行事の1つとされ、サウジアラビア統計総局によると、今年は180万人以上のイスラム教徒の巡礼者が参加。6月19日には終了する予定となっている。
ただ過去30年間、「ハッジ」では群衆の暴走やテント火災、暑さなどの要因により、数百人が死亡しているという。
昨年も少なくとも240人が死亡し、その多くはインドネシア人で死因は明らかにされていないが、期間中には2000人以上が熱中症で苦しんだそうだ。(了)
出典元:The Guardian:At least 14 pilgrims die during hajj pilgrimage amid soaring temperatures(6/17)