Switch news

知っておきたい世界のニュース

ガザ地区でポリオ・ウイルスが蔓延、保健当局が発表

ガザ地区でポリオ・ウイルスが蔓延、保健当局が発表
X_UNRWA

ガザ地区の保健当局は7月29日、地区全域でポリオ・ウイルスが流行していると発表した。

 

手や足に麻痺があらわれることも

 

ガザ地区の保健当局は、全域でポリオの流行を宣言し、このウイルスの蔓延はイスラエルの壊滅的な軍事攻撃によるものだと非難した。

 

ポリオは、ポリオ・ウイルスが人の口から入り、腸内で増殖することで感染する病気で、さらに感染者から排泄された便を通して、他の人へ感染が拡大するという。

 

主に乳幼児がかかることが多い病気で、多くの場合、免疫が作られるが、ウイルスが脊髄の一部に入り込んだ場合、主に手や足に麻痺があらわれ、麻痺が一生残ってしまうこともあるそうだ。

 

ガザ地区では現在、イスラエルの攻撃により、下水道や水道システムが損傷・破壊され、避難民キャンプ付近の路上には下水があふれているという。

 

ガザ地区の保健当局は、このウイルスの蔓延はイスラエルの壊滅的な軍事攻撃によるものだと非難。この状況は「ガザと近隣諸国の住民に健康上の脅威を与えている」と警告した。

 

そして飲料水や衛生状態の悪化、下水道網の損傷、大量のゴミや廃棄物の除去といった問題に対する抜本的な解決策を見つけるために、直ちに介入するよう国際社会に求めた。

 

WHOもすでにウイルスを検出

 

実はすでに世界保健機関(WHO)は7月26日にも、下水サンプルでポリオ・ウイルスが検出されたと発表しており、同時にA型肝炎や赤痢、胃腸炎の症例が、広範囲に増加しているとも報告していた。

 

イスラエル軍も、ガザ地区の兵士にポリオ・ワクチンの提供を開始すると発表している。

 

1988年以降、大規模な予防接種キャンペーンのおかげで、ポリオの症例は世界中で99%も減少しており、根絶に向けた取り組みが続いていた。

 

しかしすでにガザ地区では、ずっと前に発生したポリオ・ウイルスの変異株が急速に拡大しており、これはワクチンへのアクセス不足が原因だと考えられている。

 

WHOはガザ地区でのポリオ・ウイルスの検出を受け、100万回以上のポリオ・ワクチンを送ると発表しているが、WHOの報道官、マーガレット・ハリス氏は「ワクチンをガザ地区と子どもたちに届ける手段が必要だ」とし、そのためにも停戦が必要だと述べた。

 

イスラエル軍の攻撃も各地で続く

 

イスラエル軍は7月29日にも、ガザ地区南部のアル・マワシ地区を空爆し、3人のパレスチナ人が死亡、数人が負傷したという。

 

アル・マワシ地区は、イスラエル軍がかねてから「安全地帯」に指定し、人々に避難するよう求めていた場所となる。

 

またイスラエル軍はガザ地区北部のガザ市も攻撃し、これにより少女1人と若者2人の遺体が救急組織によって回収された。

 

ガザ市西部のアル・ワフダ・タワー地区付近の住宅へも空爆が行われ、4人が負傷し、救急隊員らに助け出されたという。

 

医療関係者は29日、ガザ地区全域で少なくとも33人のパレスチナ人が、イスラエル軍の攻撃で死亡したと伝えている。(了)

 

出典元:Al Jazeera:Israel’s war on Gaza live: Health Ministry declares polio epidemic in Gaza(7/29)

記事が気に入ったら
Switch Newsをフォローしよう!


Return Top