カナダで自殺幇助による安楽死が過去最高、年間で1万5000人が死亡
カナダでは、医師の介助による安楽死(自殺幇助)の件数が、過去最高に達したことが明らかにされた。
2023年には1万5343人が死亡
カナダ保健省は、安楽死に関する第5回年次報告書で、2023年に医師による自殺幇助で亡くなった人が、1万5343人になったと明らかにした。
この数字は、自殺幇助による死者数が過去最高になったことを示しており、2022年よりも15.8%増加していたが、2019年から2022年までの年間増加率31%と比べると、伸びはほぼ半減している。
2023年と2022年の両方で、自殺幇助の約96%が終末期の患者の希望によるもので、最も一般的な疾患は「がん」になるという。また安楽死を希望する人の平均年齢は、78歳とされている。
近年、安楽死に関する法律を導入
カナダは、オーストリア、オーストラリア、スペインとともに、近年安楽死に関する法律を導入した数少ない国の1つになる。
イギリス議会の下院でも今年の11月29日、安楽死に関する法案が可決された。この法案は、イングランドとウェールズで、余命6カ月未満と診断された成人が、医師2人と裁判官の承認を得た上で、薬物の投与などによって死を選ぶ権利を認める内容となっている。
カナダでは、医師による自殺幇助は、肉体的な健康状態を理由とする人に対してのみ合法だが、カナダ政府は適用範囲を拡大することを検討しているという。
そして今後は、アルツハイマー病や認知症などの病気を患う人が、病気の影響が出る前に安楽死を希望できるようになるそうだ。
また精神疾患を患う人に対する安楽死も、何年も遅れていたが、2027年までに許可される見込みとなっている。
カナダ統計局は、2023年の全体の死亡者数が、前年比2.4%減の32万6571人となったと発表。これは予備的な数字だが、医師による自殺幇助の死亡が、全体の死者数を増加させているわけではないことを示している。(了)
出典元:The Guardian:Canada’s rate of medically assisted deaths rises to record high(12/12)