第1次大戦で兵士の命を救った“奇跡のペニー”、オークションに出品される
第1次世界大戦の際に弾丸を受け止め、兵士の命を救ったことで“奇跡のペニー”と呼ばれる硬貨がオークションに出品され、注目を集めている。
ドイツ軍から撃たれるも硬貨のお陰で命拾い
今回オークションに出品される硬貨は、1889年に製造されたもの。その持ち主は、第1次世界大戦を兵卒として戦ったJohn Trickettさんだ。
1899年に生まれたTrickettさんは年齢の割に大人びて見えたせいか、兵役義務年齢に達していなかったにもかかわらず従軍したとみられている。
Trickettさんは戦場で軍服に身を包んでいる際、この硬貨を“身を焦がすような故郷への思いを忘れないため”、上着の胸ポケットに入れていたという。
硬貨が知られるきっかけとなる事件が起きたのは1914年、Trickettさんが19歳の時のこと。
この時フランスの地でドイツ軍と戦闘になり、Trickettさんはドイツ軍に撃たれてしまう。
しかし弾丸は胸ポケットに入っていた硬貨に命中。その後弾丸は跳弾し、Trickettさんの鼻から耳の裏側を貫くこととなった。
Trickettさんはこの負傷のため除隊し、戦地を離れることとなる。
また負傷の後遺症によりTrickettさんは左耳の聴力を失うなど、左半身に後遺症を持つこととなったが、命だけは助かった。
他方でTrickettさんの二人の兄弟は第一次世界大戦の戦場で命を落としており、Trickettさんだけが生き延びたという。
硬貨についてTrickettさんの孫にあたるMaureen Coulsonさん(63)は、「私たちの家族全てがその硬貨を見、それがどのように祖父の命を救ったのか聞きました」と語る。
Trickettさんが命拾いして以来、彼の命を救った硬貨は一家の間で代々受け継がれてきたという。
至近距離で弾丸を受け止めた珍しい硬貨
一方、そんなエピソードを持つ硬貨は今月22日に「Hanson’s Auctioneers」によって主催されるオークション「March 2019 Medals & Militaria Auction」の場で競売にかけられることとなる。
軍事関連物品の“目利き”であり、今回出品される硬貨の価値を見出したAdrian Stevenson氏は、硬貨について「ピストルの弾丸が至近距離で硬貨へと当たったように見えます」と分析。
さらに「私はこれまでにも兵士の命を救った様々な物品と、それにまつわる話を見聞きしてきましたが、このようなものはこれまでに見たことがありません」と硬貨の価値を強調している。
硬貨はメダルなどその他の物品と共に出品され、落札額は100~200ポンド(約1万4000~2万9000円)が予想されるとのことだ。
祖父のTrickettさんが亡くなった際にわずか6歳であったにも関わらず、彼のことをよく覚えているというCoulsonさん。
Coulsonさんはこのようなことを考えるのは“奇妙なことである”と前置きした上で、こうも言う。
「その硬貨がなければ彼の子供は生まれることもなく、私もここにはいないでしょう」
Trickettさんの命を救い、代々受け継がれてきたという“奇跡のペニー”。硬貨は競売へとかけられ他の人の手にわたっても、それにまつわるストーリーはこれからも語り継がれていくのだろう。(了)
出典:Fox News:Miracle penny that saved WWI soldier’s life to go up for auction: ‘Never seen anything like this before’(3/16)
出典:Good News Network:Lucky Dented Penny That Saved Soldier’s Life During WWI Comes to Light 100 Years Later(3/15)