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地中海で難民を救助してきた「アクエリアス号」が任務の終了を発表

地中海で難民を救助してきた「アクエリアス号」が任務の終了を発表
Twitter/SOS Mediterranee

地中海を渡る難民(もしくは移民)をこれまで数多く救ってきた海難救助船が、今回その任務を終えることとなった。

 

任務の終了を余儀なくされた

 

この船を運用してきた「国境なき医師団(MSF)」と、パートナーである市民団体「SOS Mediterranee」は12月5日、ヨーロッパ各国政府による“継続的な中傷行為”で、海難救助船「アクエリアス号」のオペレーションの終了を余儀なくされたと語った。

 

この船はリビアの沖合で漂流したり、難破しかけたりした難民船を救助していた最後の船とされ、昨年には5つのグループが運営に携わっていたそうだ。

 

しかし9月にパナマ海事局が「アクエリアス号」の船籍を剥奪すると発表。このため「アクエリアス号」は実質的な活動ができず、フランスのマルセイユ港にとどめ置かれてきたという。

 

「国境なき医師団」のVickie Hawkins氏は次のように語っている。

 

「まさに暗黒の日です。ヨーロッパは献身的に捜索救助する能力を提供するのに失敗しただけでなく、命を救うための他の試みを積極的に妨害してきたのです。アクエリアス号の終わりは、多くの人命が海で失われることを意味しています。目撃されず、記録にも残らない、避けられるはずの多くの死を増やすことを意味しているのです」

 

今年も2000人が溺れて死亡

 

難民らは戦争や貧困から逃れるために、中東やアフリカからやってくるのだが、2016年には地中海を渡ろうとして約5000人が死亡しているという。

 

また昨年、彼らを密航させていたリビアの人身売買組織の力が低下し、またEUがリビア沿岸警備隊の増強に踏み切ったことから、イタリアに到着した難民らの数は急激に減少しているそうだ。

 

それでも今年も2000人に上る難民が海で溺れており、まだまだ「アクエリアス号」の必要性は高いと考えられている。

 

「アクエリアス号」が不法投棄?

 

一方、イタリアには過去4年で約60万人もの難民がリビアから到着しており、政府は6月に「アクエリアス号」が助けた移民629人が伊南部に上陸するのを拒否。

 

このため「アクエリアス号」は、船の受け入れを表明したスペインへと向かうこととなった。

 

またイタリアの極右政党に所属するサルビニ内相は以前、「アクエリアス号」を「難民を乗せたタクシーサービス」と揶揄している。

 

さらにイタリアの検事局も、「アクエリアス号」と姉妹船「VOS Prudence」の乗組員が2017年1月から2018年5月にかけて、危険な医療廃棄物を通常のゴミに混ぜて、イタリア南部の港に違法に投棄していると非難。

 

しかし「国境なき医師団」側は、このような違法行為を否定。またパナマ海事局に圧力をかけて船籍を剥奪させ、人道的な捜索救助ミッションを不法なものにするよう求めているとして、イタリア政府を非難した。

 

一方「SOS Mediterranee」は12月8日に、「アクエリアス号が退役するかもしれないが、私たちは新たな船を探している」とツイートしている。(了)

 

 

出典元:ABC net:Migrant rescue ship Aquarius forced to end operations after ‘smear campaign’ by EU governments, charity claims(12/7)

出典元:The Telegraph:Migrant rescue vessel Aquarius ends operations in Mediterranean(12/6)

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