まるでスチームパンクの世界!世にも珍しい“楽譜用タイプライター”がかっこいい
タイプライターといえば、19世紀から20世紀後半にかけ世界的に広く使用されたものだが、その中に楽譜専用のものが存在していたことをご存じだろうか。
そんな世にも珍しい“楽譜専用タイプライター”が今、再び収集家の間で注目を集めている。
1900年代半ばに販売された“楽譜専用タイプライター”
“楽譜専用”として一部で知られているタイプライターは、その名も「Keaton Music Typewriter」と呼ばれるもの。
発明者は米国カリフォルニア州サンフランシスコ出身のRobert H. Keaton氏という人物で、1936年に初めて特許が取得されているという。
当初発明されたものは、キーボード上にわずか14のキーが取り付けられた単純なものであったというが、その後改良。
1953年に特許が取得されたものにおいては、33ものキーが設置されている。
この改良版のKeaton Music Typewriterは1950年代に、当時の価格で255ドル(約2万8000円)ほどで販売されたという。
尚、当時の255ドルは現在の2415ドル(約26万9000円)ほどに匹敵する。
キーボードが円形となった理由とは?
このKeaton Music Typewriterにおいて最も特徴的なのは、キーボードが横一列ではなく円形になっている点だ。
このユニークな形状は、五線譜上で正確に音符や記号を打ち込むため考案されたものであるとのこと。
またKeaton Music Typewriterにおいては2種類のキーボードが存在。
Keaton氏はこれについて、一つのキーボードは小節線や加線(五線譜上に収まらない高音や低音を表すために加えられる線のこと)といったものを記すことができる一方、もう一つのキーボードではそれ以外の音符や休符、シャープやフラットといった残りの記号を記すことができる、などとしている。
さらにKeaton Music Typewriterの左側には目盛が設置されており、これにより楽譜上で音符や記号がプリントされる位置を正確に調節することが可能となっているとのことだ。
収集家から注目、オークションでは100万円以上の高値も
Keaton Music Typewriterは音楽家や楽譜の出版業者、音楽教師らの手に渡り、従来よりもより簡単に楽譜の大量生産を行うことに貢献したと伝えられる。
一方、楽譜専用のタイプライターというもの自体がニッチな業界に向けたものであったため、これが販売当時に商業的な成功を収めたのか否かは定かではない。
しかし今Keaton Music Typewriterは、スチームパンクを彷彿とさせるような機械的でありながらもレトロな趣溢れる見た目により、収集家からの注目が高まっているという。
そのため現在でも使用することが可能な状態にあるKeaton Music Typewriterは、十数程度しかないとみられる一方、インターネット上のオークションでは6000~1万2000ドル(約66万9000~約133万8000円)で販売される様子も見受けられるそうだ。
何十年もの時を経て、再び注目を集める“楽譜専用タイプライター”。その利便性はさておき、もう少し安値で購入することが可能なのであれば、インテリアのアクセントに入手したいところだ。(了)
出典:My Modern Met:This Rare Vintage Typewriter from the 1950s Lets You Type Sheet Music(3/14)
出典:Boredpanda:This Is A Music Typewriter From The 1950s, Only A Handful Are Left Today