遺体を前にエベレストで列を作る人々、登山者がショッキングな写真で警鐘を鳴らす
エベレストの山頂付近で登山者が長い行列を作っていることが、問題になっているのをご存知だろうか。
そして先日、さらにこの状況の危険性を訴える写真が投稿された。
ロープでぶら下がった遺体
その写真を投稿したのは、カナダ人のフィルムメーカーであるElia Saikalyさん。
彼は先日、エベレストの頂上に登ったのだが、その際長い行列を作って順番を待っている人々の写真を撮影。それをインスタグラムなどに投稿した。
その写真には実は、ショッキングな場面が映っていた。それは遺体の前を通っていく、またはその前で待ち続ける登山者たちの姿だった。※写真の閲覧にはご注意いただきたい。
ロープをまたいで進む登山者たち
遺体は海抜9000m付近ですでに凍りついており、崖からロープでぶら下がっている状態だったという。
そして他の登山者は、遺体をぶら下げているロープをまたいで進んでいったそうだ。
しかも彼らは酸素が失われるリスクや寒さと戦いながら、順番を待って山頂を目指していた。下の動画は別の登山者、Martin Hewittさんが撮影した山頂の様子。
On top of Mount Everest after pushing ourselves hard to overtake well over a hundred climbers so we didn’t run out of oxygen. Thankfully all our training, preparation and teamwork paid off. #adaptivegrandslam #Everest2019 #toomanyunpreparedclimbers Improvedprofessionalismplease. pic.twitter.com/sNBhZN3rFW
— Martin Hewitt (@bymartinhewitt) May 26, 2019
危険性を訴えるために投稿
この遺体の身元については、まだ確認されていない。またSaikalyさんも、遺体を越えていく登山者たちを非難しているわけでもない。
彼はエベレスト山頂付近がこのように混雑した状況にあり、登山者にとっても非常に危険で深刻であること、また現に死亡している人が多くいることを伝えるために投稿したという。
実際、ここ9日間ですでに11人がエベレストで亡くなっており、5月27日にはアメリカ人弁護士のChristopher John Kulishさん(62)も下山途中に急死したという。
疲労のため死亡したとされる登山者は、大抵の場合、極端に標高の高い場所に長くとどまり過ぎて酸素を切らしているとも言われている。
そして登山者が多くなっている原因として、ネパール政府が入山者数を制限していない点、またはエベレスト登山ツアーを運営する業者も認可制にされていない点なども指摘されているようだ。
その上でSaikalyさんはこの写真を投稿したことは配慮に欠けていたと謝罪しつつも、次のように現状への危機感を訴えている。
「この責任は誰にあるのか?登山者個人か?企業か?それとも政府か?今が、新しいルールを実施すべき時なのか?そうすれば物事は変わるのか?どんな解決策があるのか?」(了)
出典元:METRO:Climbers clamber over body of Mount Everest victim as death toll continues to rise(5/27)