恐いのは国家の監視だけじゃない!携帯の顔認証義務付けで中国人が危惧していることとは?
中国政府は先日、新しい携帯電話のユーザーに対して、登録時に顔をスキャンしたデータの提出を義務づけた。
これに関する記事はすでに多く広まっているが、BBCでは中国人ユーザーらの反応などを詳しく伝えている。
市民の利益と権利を守るためと説明
中国の工業情報技術省によれば、新しい携帯電話を購入した人は、登録する際には顔をスキャンし、そのデータを提出することを義務付けたという。
この規定は全てのデータベースと本人の身元を繋げるための措置と考えられており、9月に発表され、12月1日から施行された。
中国当局は、これはサイバー空間における市民の利益と権利を守るための措置だと説明している。
ただし新しい規定は1日以降に新規登録した電話番号に適用される。それ以前に登録した番号については顔認識情報を登録する必要はない。
政府が個人を監視できる?
そもそも中国では2013年から本名での登録を推し進めており、携帯電話などの契約の際には利用者にIDカードを見せるよう求めており、写真の提出も義務付けられていた。
もっともこのような手続きは世界の様々な国で行われているが、中国では今回新しい登録者は提出したIDと一致しているかを確かめるために、顔をスキャンさせられ、生体認証データを提出することを余儀なくされた。
しかも現在ではAIの技術の発達により、顔を認識する技術も進んでおり、中国では空港やオフィスビル、街の中などどんな場所にいても市民の顔を認識できるようになっている。
そして今回、多くの市民が顔認証のデータを提出すれば、常に政府が個人を特定し、監視できるようになるとも指摘されている。
データの漏洩や悪用を懸念する声も
今回の顔認証データの提出について、中国のSNSユーザーの間でも懸念する声が上がっているという。
BBCでは、今回の規定が今年の9月に発表された時には、中国メディアが大きく伝えなかったが、すでに数百人のネットユーザーが収集されるデータの量が増大することへの懸念の声を上げていたと伝えている。
そして今回の顔認証のデータ提出について、あるユーザーはWeiboにおいて「人々はだんだん厳格に監視されていく。中国政府は何を恐れているのか」とコメントしたという。
一方、その他多くのユーザーは「すでに中国では、あまりにも多くのデータに関する違反が見られる」とコメント。
「以前ハッカー(泥棒)はユーザーの名前を知っていたが、将来はユーザーがどんな顔をしているのかも分かることになる」とのコメントには1000件もの「いいね」がついたそうだ。
さらにユーザーらはしばしば自分たちの名前を知る人間から詐欺の電話も受け取っており、「今後は奴らが、自分の顔を知ることができるようになるのか?」と危惧する意見も寄せられた。
AFPでは今回の規制について、研究者らは顔認証データ収集にまつわるプライバシー・リスクを警告しているが、消費者の間では広く受け入れられている、と伝えている。
しかし同時にユーザーの間では、生体認証データがリークされ、販売されるのではないか、といった恐れを抱く人や「少しやりすぎだ」という意見もあると紹介している。(了)
出典元:BBC:China due to introduce face scans for mobile users(12/1)
出展元:AFP:中国、電話契約に顔認証を義務化 プライバシーに懸念も(12/2)