ブラジルの規制当局、リスクがあるとして「スプートニクV」を承認せず
ブラジルの規制当局は、ロシア製の新型コロナワクチンの使用を承認せず、輸入を禁止した。
「内在するリスクが多すぎる」
ブラジルの国家衛生監督庁「Anvisa」は4月26日、州知事らから要望があったにもかかわらず、ロシア製のワクチン「スプートニクV」の輸入を禁止した。
「Anvisa」の5人からなる理事会は、「スプートニクV」には内在するリスクがあり、深刻な欠陥があるとして、満場一致で使用を承認しないことを決定したという。
また理事たちは、ワクチンの安全性や品質、効果を担保するための情報が欠如していると指摘したそうだ。
健康監視担当部長のAna Carolina Moreira Marino Araujo氏は、「提示されたあらゆる資料、実地調査で得られたデータ、他の規制局からの情報を考慮した結果、このワクチンには内在するリスクがあまりにも多すぎます」と述べている。
ロシア側は反発、政治的な動機?
これに対し、「スプートニクV」を海外で販売しているロシア直接投資基金(RDIF)は、接種の安全性や効果は、使用が承認された61カ国の規制当局によって評価されていると主張。
声明においても、「スプートニクVの登録を延期するというAnvisaの決定は、政治的な動機によるものかもしれない」と主張。「外国の規制当局への圧力を含めて、ロシアのワクチンに反対しようと、いくつかの国によって行われた数多くの試みを遺憾に思う」と述べたという。
またロシアの科学者も、380万人のデータをもとにした現実世界の評価において、このワクチンはCOVID-19に対して97.9%の有効性がある、と語っている。
This video shows high-tech facilities of Egypt's Minapharm near Cairo where over 40 mn doses of #SputnikV vaccine will soon be produced per year.
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— Sputnik V (@sputnikvaccine) April 22, 2021
繁殖可能なウイルスが含まれていた
しかし「Anvisa」の医薬品・バイオ製品マネージャーであるGustavo Mendes氏によると、重要な問題は、ワクチンに繁殖可能なアデノウイルスが存在していたことであり、これは「深刻な」欠陥であるという。
一方、EUの規制機関である欧州医薬品庁(EMA)は現在、「スプートニクV」とその製造工程を検討しており、5月か6月には使用の可否が決定される予定だとされている。
予防接種プログラムの遅延や調達の失敗により、ブラジルでは感染拡大が続いており、国の医療システムは崩壊寸前に追い込まれている。
それでも保健省のデータによると、これまでにブラジルでは人口の13%に相当する2730万人がワクチンの初回投与を受けているという。(了)
出典元:Reuters:Brazil health regulator rejects Russia’s Sputnik vaccine(3/27)