南極の海域が5番目の「洋」に、地図上に新しい海が誕生
南極の周りの海が、新しい「洋」として認められ、地図に書き加えられることになった。
南極を取り巻く海域を命名
ナショナル・ジオグラフィック社は6月8日、南極を取り巻く海域を「南氷洋(南大洋)」として正式に認めると発表した。
これまでは「インド洋」「北極(北氷洋・北大洋・北極洋)」「大西洋」「太平洋」の4つだけだったが、今回「南氷洋」が5番目として加わることになった。
実は、科学者の間では「南氷洋」がこれまで認識されてきたが、この名称はまだ国際的な合意に至っていなかったため、公式には認められていなかったそうだ。
南緯60度までの海域
ナショナル・ジオグラフィックによれば、「南氷洋」は南極大陸の海岸線から、南緯60度まで環状に広がった海域になるという。
大陸ではなく海流で指定されている点で、他の「洋」とは異なるそうだ。その面積は、アメリカ大陸の2倍より少しだけ広いと言われている。
これまでも使っている団体はあった
通常、ナショナル・ジオグラフィック協会は国際水路機関(IHO)の呼称に従っており、IHOは1937年にガイドラインで「南氷洋」を認めていたという。しかし1953年その呼び名を廃止、現在まで復活していない。
一方、米国地理的名称委員会は1999年から「南氷洋」を使っており、米国海洋大気庁も今年の2月にこの名前を認めたそうだ。
そして今回、周辺海域の保護活動のために、ナショナル・ジオグラフィック社は「南氷洋」を正式に認定し、世界地図に書き加えることに。
脆弱な生態系を持つ
「南氷洋」には、クジラ、ペンギン、アザラシなどの海洋生物が生息し、ユニークで脆弱な海洋生態系を内包しており、すでに漁業の影響が何十年と続いているという。
またこの海域には、「南極循環極流」というものがあるそうだ。これはあらゆる潮流の中で最も多くの水を運び、地球上の熱を運ぶ循環システムを動かしているとか。
そして科学者らは、気候変動が「南氷洋」をどのように変化させるかについて懸念を表明しているという。(了)
出典元:USA TODAY:A fifth ocean? National Geographic adds Southern Ocean to world map(6/10)