【マルコムX暗殺事件】半世紀の時を経て、犯人とされた2人の男性が無罪へ
黒人指導者・マルコムXの暗殺事件をめぐり、新たな証拠が調査され、犯人とされた2人の男性が無罪となった。
1965年に起きた暗殺事件
この暗殺事件が起きたのは1965年2月21日、場所はニューヨーク市マンハッタンにあるワシントンハイツ地区の舞踏場と言われている。
この時、公民権運動の指導者だったマルコムXはステージ上で演説をしていたが、客席などからの銃弾を浴びて死亡。その後、主犯格のThomas Hagan容疑者と、共犯とされたMuhammad Aziz(現在83歳)氏、Khalil Islam氏が逮捕された。
1966年の裁判で3人は有罪となり、Aziz氏(以前はNorman Butlerと名乗っていた)は22年間刑務所で服役し、1985年に仮釈放された。またIslam氏は、一貫して無罪を主張してきたが認められず、2009年に死亡している。
しかし今回、Aziz氏とIslam氏、2人の有罪判決が取り消され、無罪となった。
捜査の再検証を始める
もともと主犯格のThomas Hagan受刑者は、マルコムXの暗殺には、Aziz氏ら2人は関わっていないと主張してきたという。
またニューヨーク州の地方検事・Cy Vance氏も、「Innocence Project」や公民権弁護士のDavid Shanies氏とともに、昨年から当時の捜査の再検証を始めたそうだ。
その結果、2人が暗殺に関与してない証拠が見つかり、また捜査当局も証拠を隠ぺいしていたことが判明。このためVance氏らは11月18日、暗殺事件に対する2人の有罪判決を無効にする申し立てを、共同で行ったという。
「マルコムXの暗殺は歴史的な事件」
「Innocence Project」のBarry Scheck氏は、17日に声明を発表し、次のように語っている。
「マルコムXの暗殺は歴史的な事件であり、慎重な捜査と起訴が求められていたが、代わりに、私がこれまでに見た中で最も露骨な司法の誤謬が生じた」
またAziz氏とIslam氏の弁護団も、次のように声明を発表した。
「この共同申し立ては、2020年1月に始まった共同での再調査の成果であり、裁判時には入手可能であったものの、弁護側と検察側の両方から非公開とされていたFBI文書を含む、Aziz氏とIslam氏の無実を示す証拠を新たに発掘したものである」
今回の検証についてはFBIも審査に協力し、ニューヨーク市警も、マンハッタン地方検事局が最近行った捜査と訴追の見直しに全面的に協力したと言われている。(了)
出典元:ABC News:2 men found guilty in the Malcolm X assassination expected to have convictions thrown out(11/18)