米CIA長官、ロシアが戦術核などを使う可能性に言及
アメリカのCIA長官が先日、大学で講演を行い、ウクライナ侵攻でロシアが今後、核兵器を使う可能性について言及した。
まだ戦術核を使う可能性がある
CIAのウィリアム・バーンズ長官は就任1年を記念して、4月14日、ジョージア工科大学の学生や教員を前に講演を行ったという。
その中でバーンズ長官は、ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ侵攻の軍事的後退を考慮して、戦術核または低量の核兵器を使用する可能性があるとし、次のように述べた。
「プーチン大統領とロシアの指導者たちの潜在的な絶望感、彼らがこれまでに直面した軍事的な挫折を考えると、戦術核兵器や低密度核兵器に頼る可能性がもたらす脅威を軽く見ることはできない」
ただし、ロシアは2月24日にウクライナへ侵攻した直後、核戦力を厳戒態勢に置いたと発表したが、バーンズ長官は講演で、ロシアが核戦力を実際に配備したとする「多くの現実的証拠」は見ていないと述べている。
プーチン大統領の読みが外れる
実はバーンズ長官は昨年11月、バイデン大統領によって、ウクライナでの軍事行動の可能性をロシア側へ警告するために、モスクワへ派遣されたそうだ。
その際、プーチン大統領は、ウクライナ人がすぐに降伏すること、自国の軍隊が「最小限のコスト」で勝利を収めること、ヨーロッパ人が「リスク回避」を続けること、自国の経済が巨額の外貨準備によって「制裁に耐えられる」ことを確信しているように見えたという。
しかし実際、戦争が始まってから、プーチン大統領の読みが間違っていることが証明されたとし、「ウクライナの意志は揺るがず、プーチンのロシアは自らに多大な物質的・風評的損害を与えた」と述べた。
機密情報を公開する戦略
またバーンズ長官は、アメリカの諜報員のほとんど目に見えない働きを称賛し、ロシアの計画に関する機密解除された情報を公にするという、バイデン政権の戦略の効果を賞賛し、次のように語った。
「秘密の一部をオープンにすることで、プーチンの悪質な侵略の真実を曖昧にすることを難しくした」
その上でバーンズ長官は、この戦略の成功が、情報機関にとって他に類を見ない厳しい時代における「新しい考え方と新しい戦術」の必要性を反映していると語った。
アメリカの政府関係者によると、情報機関は先週、戦術的な現実の変化を反映し、ウクライナの東部と南部で迫り来るロシアの攻勢に対処するために、ウクライナと共有する情報の範囲を広げたという。(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war latest: Russia says Moskva warship has sunk after reported missile strike – live(4/14)