【ロシア】ウクライナ東部Lymanを掌握か?一方、国民には寄付を呼び掛ける
ロシア国防省はウクライナ東部の町、Lymanを完全にコントロール下に置いたと主張している。
スロビャンスクへの進出を狙う
ドネツク州のクラマトルシク地区にあるLyman市は鉄道の合流地点とされ、先日からロシア軍が攻勢をかけてきたが、28日、ロシア国防省はこの町を完全に掌握したと発表した。
ウクライナ側も、ロシア軍がLymanの大部分を占領したと認めているが、ウクライナ軍が南西に車で30分のところにある町、スロビャンスクへの進出を阻止していると報告している。
イギリスはこれに先立ち、ロシアが次の段階として、ウクライナ領の主要都市、スロビャンスクとクラマトルスクへの進出を狙う可能性があり、「Lymanの支配はロシアに有利となる」と警告していた。
「すべての土地を奪還できない」
ウクライナのゼレンスキー大統領も、ロシア軍が戦略的に重要な町、Lymanを掌握し、セベロドネツクを包囲したと主張していることについて、ドンバス地方の状況が困難であることを認めた。
その一方、ゼレンスキー大統領は28日のテレビ演説において、ドンバス地方で持ちこたえているウクライナ軍に感謝し、2月24日の侵攻以来ロシアが奪ったすべての土地を奪還すれば、ロシア政府が交渉のテーブルにつくだろうという見方を示した。
しかし同時に、2014年以降にロシアが奪取したすべての土地、クリミアを含む土地を、ウクライナが軍事的に奪還できるとは考えていないとし、次のように述べたという。
「私は、軍事的な手段ですべての領土を回復できるとは思っていない。もし、そのような方法を取ることになれば、何十万人もの人々を失うことになる」
ロシア政府が国民に寄付を募る
またロシアも少し困難な状況に陥っていることを示す、情報がもたらされている。
ニューヨーク・タイムズによれば、ロシアは軍隊のための食糧や衣服、さらには軍需品を得るために、自国民に寄付を募る手段に出たという
実際に、市民による草の根のネットワークが、前線に送るドローンや松葉杖、ジャガイモなどの代金をロシアの通貨・ルーブルで寄付しているそうだ。
ロシア・サマラ州の都市、ノボクイビシェフスク市の企業経営者であるタチアナ・プロトニコワさんは、ニューヨーク・タイムズの電話インタビューで「誰もこのような戦争になるとは予想していませんでした。誰も準備はできていなかったと思います」と語っている。
これが事実だとすれば、ロシアの660億ドル(約8兆4000億円)の防衛予算は、ウクライナ侵攻のような大規模な事業には不十分だったことを示唆しているという。(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war: Russia claims capture of strategic town as fighting rages in east; Johnson and Zelenskiy hold talks – live(5/28)