ベルリン、マドリード、ウィーンの市長たち、フェイクのキーウ市長とビデオ会談してしまう
ヨーロッパ3都市の市長が、ディープフェイクに騙されてしまった。ウクライナ・キーウ市長とビデオ通話で話したはずが、本物の市長はそんな通話はしていなかった。海外の複数メディアが報じている。
15分間気づかず話したベルリン市長
ドイツ・ベルリン市長、フランツィスカ・ギファイ氏は、先週始め、ビデオ会議用アプリ「Webex」で、予定されていたキーウのビタリ・クリチコ市長との会談を行った。
ビデオ通話なので互いの顔が見れる。それでもベルリン市長は、相手が偽物と気づかず15分間話した。やがて偽キーウ市長は、ウクライナ難民がドイツ政府の公的給付を不正受給していると言い出し、さらには難民をウクライナに帰国させて兵役に就かせることを要求し始めたので、ベルリン市長はおかしいと思ったそう。
ビデオ会談が一旦中断した際にベルリン市長がウクライナ大使館に確認したところ、ビデオ会談の相手はキーウのクリチコ市長本人ではないと判明した。
ベルリン市長は、ディープフェイクで生成された偽キーウ市長を相手に話したのだろうと考えている。
ディープフェイクは、人工知能の深層学習を利用して実在人物の映像や音声を変更し、実際には話していないことを話させたり、表情や身振りをさせたりする技術だ。
マドリードとウィーンの市長も騙された
スペイン・マドリード市のホセ・ルイス・マルティネス・アルメイダ市長は、偽キーウ市長とのビデオ通話が始まってすぐに、何かがおかしいと感じ、通話を中断したと報じられている。市は現在、警察に捜査を依頼しているようだ。
オーストリア・ウィーンのミヒャエル・ルートヴィヒ市長は、先週半ばに、キーウ市長とビデオ会談したことをツイートした(現在は削除されている)。その後すぐ、市の公式ツイッターアカウントから、ビデオ会談で市長がディープフェイクによるサイバー犯罪の犠牲者になったという発表があった。
3市長らを騙した犯人やその目的は、今のところ不明。本物のキーウ市長は、当然のことながら、ロシアを非難している。(了)
出典元:The Guardian:European politicians duped into deepfake video calls with mayor of Kyiv(6/25)
出典元:CNBC:European mayors duped into calls with fake Kyiv mayor(6/25)